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てがみ座「対岸の永遠」を書くまで [演劇ユニットてがみ座]

こんにちは!久しぶりの更新です。
インフルエンザが流行ってますね。今はてがみ座は毎日稽古をしていて
3月は劇団初めての一ヶ月ロングランですから、
座組の全員が心身共に健康で、充実して過ごせるように
ほんとうに祈るような思いです。
インフルエンザって予防接種していても違う型のを掛かってしまうことがあるそうなので、座組もお客様も、どうか元気でお会いできますように!


そうなんです。今は稽古の日々。
てがみ座の3月公演『対岸の永遠』について書きたいと思います。

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今回、シアター風姿花伝という劇場のプロミシング・カンパニーに選出されておりまして、一ヶ月のロングラン公演という劇団にとって新たな挑戦をさせていただくことになりました。

新作、何を書こうかと考えてみたときに
今回は、より人間の内奥に触れる作品を書いてみたいと思いました。

幾重にも重なる景色、それは人間の記憶。
闇の描写が浮き上がらせる光。
そのレイヤーが織りなす世界。

そんな作品を書いてみたいと思い、
また、2015年末のパリやトルコでのテロ事件の空気を呼吸し、
詩人ヨシフ・ブロツキーと都市レニングラードの関係性から着想した物語を編み上げていきました。


ヨシフ・ブロツキーは、ソ連時代にロシアを追放された詩人です。
アメリカに渡ってから詩人としてノーベル文学賞を受賞しました。
今回は、評伝ではなく、「亡命者となった詩人と祖国」という枠組みだけを借りて新しい物語を創作してきました。

実は、この「大切な場所を喪うことで、逆説的に、心の中で永遠に繋がる」というテーマは
私にとって自分の作家としての根幹を成すものなのだと思います。

18歳の時に、生まれて初めて書いてみた脚本は『ランド』という作品でした。
これも三人の主人公達が自分の故郷である大切な場所から旅立つことを余儀なくされるところから物語が始まりました。
学生時代に書いていた作品は、架空世界に設定したり日本の現実の社会を設定したり
いろいろ変奏はありつつも
いつもそんなことが内奥されているものだったように思います。

てがみ座を旗揚げしてからもそういうテーマで創った作品として
『線のほとりで舞う花を』があります。
これは国境を巡って迫害されていくロマ(ジプシー)の姉妹を軸にした物語で
音楽やダンスも取り入れてポエティックな仕立てに変奏していましたが
震災直後の4月に上演していたもので、自分にとっては殊に特別な作品となっていました。


今回は、シアター風姿花伝という劇場
(支配人で女優の那須佐代子さんがプロデュースで意欲的な作品を次々上演なさっています)
そして、上村聡史さんという海外作品に造詣の深い演出家と出会えましたので
一度、書いてみたかったことを思いきり、
変奏などの形をとらずに、正面から書き切ってみようと思いました。

それで、いよいよ「亡命者となった詩人と祖国」の物語です。
物語の軸を、心と心の共振にするために、父と娘を主人公に据えました。

舞台に設定したレニングラード(現サンクトペテルブルク)という場所は
これもまた私にとって魅力的な響きを持つ街なんです。
普段は、物語を書く前に現地に取材に行って実際の景色を取り込んでくるのが
私にとって「書く」という行為に入るためのプロセスなのですが
今回は、レニングラードという街の架空性に惹かれているので
あえて現地には行かないで、書物や映画や写真などを通して街を想像していきました。
(あとは、『青のはて』の取材で行ったサハリンの質感とか)

この街は、バルト海にそそぐネヴァ川の湿地に、
皇帝が突如として建築した沼地にそびえる人工都市なんです。
外見はパリなどのように美しく創られているんですが
いつも水の気配があり、沼地の地面は不安定で
どことなく浮かんでいるような、蜃気楼の街のイメージがあります。
ドストエフスキーや多くの作家が、そのイメージに惹かれて物語の舞台としていますが
なんていうか、私にとっても
人間の記憶の中に留められているような架空性を帯びた街という感覚があります。

今回は、写実ではありますが、
でもどこか人の記憶の中だけに留められている景色を舞台背景としたくて
ここで物語を書きました。

(てがみ座の人たちは、いつも私がどんな新作を書くのかをきっと心の中じゃ戦々恐々としていて
「今度はロシアが舞台です。みんなロシア人です」と言われて内心のけぞったと思います……)


けれど、今、新作を生み出すとして
どうしても視野を広くもって、世界がどう動いていこうとしていくのか
その気配を呼吸しながら書いてみたかった。
世界中の作家がそういう目で新作を創作しているのに
私たちだけが日本に閉じ籠もっていていいのだろうかとも思った。

ここからまた日本を舞台に書くようになりますが
今回書いてみたことで、なにか違った視野が獲得できるかもしれません。

いろんな挑戦に充ちていますが、
それでも、私は、難しすぎるということはないんじゃないかな……と思います。
ロシアがわからなくても、レニングラードがわからなくても
まったく問題なく観ていただけると思います。

描いているのは、人と人が関わり合って生まれる心、ですから。


一ヶ月、長丁場で、
きっといろんなことを感じるんだと思います。
そのすべてを経験としてぎゅっと吸収していきたいと思います!


ぜひぜひ、観に来てください。
公演の詳細はこちらです。


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チケットはこちらにて!



チラシに使用させていただいている写真は、小畑雄嗣さんという写真家の方から
直接お借りしました。
小畑さんは数年前に恵比寿の写真美術館で「スナップショットの魅力」展で知った方で
「二月」と題された写真集から展示された写真にとても惹かれ、
雪の結晶のお写真を『青のはて』に使わせていただきました。

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国境や旧共産圏でも写真を撮られている方で
このテーマを書きたいと思ったときに、小畑さんのお顔が浮かび
イメージ写真をお願いさせていただきました。
私がお伝えしたイメージで、沢山の中からお選びくださった写真です。
大好きなクリエイターの皆さんといっしょに作品を作れるのは本当に幸せです。
小畑雄嗣さんHPはこちら。

では、3月。劇場でお会いしましょう!

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『汽水域』NHKプレミアムステージ放映決定 [演劇ユニットてがみ座]

てがみ座 最新作『汽水域』が3/2 NHKプレミアムステージにて放映が決定しました。
また続けて、長田育恵が2014年夏に文学座アトリエに書き下ろした『終の楽園』もアンコール放映が決定しました。
長田書き下ろし作による二本立てのプレミアムステージ、ともにお楽しみください!

3/2(月)0:00~ NHK BS (※日曜の深夜)
『汽水域』
http://www4.nhk.or.jp/p-stage/x/2015-03-01/10/15751/

(以下、サイトより転載)
【脚本】長田育恵
【演出】扇田拓也
【出演】佐藤誓,大西多摩恵,箱田暁史,橋本昭博,廻飛呂男,福田温子,中村シユン,金松彩夏,中田春介,笠木誠,石村みか

今月のプレミアムステージは、「汽水域」。
海水と淡水がまじりあう場所。自らのルーツをもとめて、日本へ向かう潮流に乗る。今の自分は何者なのか?汽水域からアジアを見渡して見えたものは!
フィリピンの汽水域にある小さな村で暮らす日系人家族。父と兄弟は互いに反発しあいながらひかれあいながら自らの生き方を模索していく。劇作家、長田育恵の書き下ろし作品。

てがみ座『汽水域』特設サイト
http://www.tegamiza.net/take14/

☆アンコール放映(『汽水域』放映後からスタート)
『終の楽園』
【脚本】長田育恵
【演出】鵜山 仁
文学座 特設HP
http://www.bungakuza.com/tsuinorakuen/


***
と、ここまでは、お知らせで。

でも今は毎日、新作を書いている最中なので、
こんなふうに放映していただけることに心臓がばくばくします。
毎日がほんとうに真っ暗な中を手探りで進む&固い岩盤を小さい釘で削って進むような心境で、
脱獄囚とかトンネル掘りに従事する人と苦労を分かち合えそうな感じですが
こうして、劇場にお越しくださった以外のお客さまにもご覧いただける機会をいただくことは
素直に、とても嬉しいです。
てがみ座にとってもはじめての劇場中継です。
舞台の感触に触れていただけたら、幸いです!
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てがみ座 永楽館公演「乱歩の恋文-芝居小屋バージョン-」を終えて [演劇ユニットてがみ座]

夜の河岸で肩を並べて見る、小さな緑色の光の群れ……。
滞在中の私たちは、一日の終わりに蛍を見に行くことがいつしか日課になっていました。

6月14日~15日、てがみ座「乱歩の恋文ー芝居小屋バージョン-」[ぴかぴか(新しい)]
日本劇作家大会2014豊岡大会の有料企画として、
兵庫県は出石で一週間の滞在制作を行ってきました!

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(撮影/中才知弥)

出演
[かわいい][かわいい][かわいい]

石村みか・福田温子(以上てがみ座)
佐藤誓・伊東潤・小山萌子・中田春介・近藤フク・久我真希人・根本大介・中村シユン
扇田森也・岸野健太

[かわいい][かわいい][かわいい]

出石 永楽館。
大会のメイン会場である城崎国際アートセンターから車で約四〇分、
城下町の風情を今に伝える街。
もともとこの街は、大正一四年の北但馬地震で被害を受けた後、
住民たちがどのように復興していくかを話し合い、あえて江戸の残り香が息づく街並へと再建。
また戦前は縮緬産業で栄えましたが、産業に翳りが差す頃、代わりに蕎麦屋へと転向。
以来、続々と蕎麦店を増やし、
現在は「城下町の風情」と「皿そば」を目当てに多くの観光客が訪れるようになっています。
このように、出石は、街の人たち自身が創意工夫の意欲に満ち、
旧き良きものに光を当て、守り育てていこうという気概がある土地です。

そんな街にあり、近畿地方最古の芝居小屋と言われる永楽館は、
まさに出石の人々に愛されてきた劇場。
元々は個人が趣味で建てた芝居小屋で、時代に揉まれ一度は閉館の時を迎えても、
芝居小屋を取り壊すことはせず、有志が定期的に清掃等を行い守ってきました。
そして平成二〇年、現在の中貝市長が就任されて、
豊岡市の文化財として見事蘇りを果たしたのです。

最初にこの小屋を訪れたとき、大正時代の面影を留める懐かしさと同時に、
小屋自体が今なお呼吸しているかのような不思議な清々しさを感じました。
その裸舞台に立って、
滞在制作は永楽館そして出石という街の人々と共に創り上げる作品にしようと決めました。

上演作品自体は東京で過去に二回上演したことのあるものでしたが、
今回は全く新しい座組での挑戦となりました。
本当に素敵な俳優の皆さまがご出演くださいました!!
いつか必ず東京公演も実現させようと心に誓うほど……!
そして
出石ならではの「芝居小屋バージョン」として改訂、街からも五名のエキストラを迎えました。
参加してくださったのは、地元の落語会「いずし落語笑学校」や「大向う鸛の会」所属の皆さん。蕎麦屋の店主をはじめ稲荷神社の総代やフードショップの経営者などバラエティ豊かな方々です。
ここでちょっとご紹介!

[かわいい][かわいい][かわいい]

榮木健二さん 
出石が誇るとびっきりのエンターテイナー。我らが町会長☆
ちょっぴり口が悪いけど、頼りになるアニキといった存在!

藤井博義さん
少し照れて、どこかニヒルな笑顔が格好いい、名俳優の雰囲気をまとうお方!

日足勝己さん
滞在中にずーっとお世話になった「フードショップ日足」のかっちゃん!
お店を覗いて目が合っては、いつもとびきりの笑顔をくれました。

片山正之さん
物静かな雰囲気で、だけど目の奥でおかしそうに笑っている。
まあちゃんが嬉しそうにしていると、こちらまでとても嬉しくなって。

小松和巳さん
皿そば「花水木」の店主のこまっちゃん!とびきり気持ちが優しくて優しくて。
ちょっぴり涙もろくて。
こまっちゃんの花水木で座組一同楽しい夜を過ごしました!!

渋谷勝彦さん
皿そば「甚兵衛」店主の渋谷さん。私たちと出石を繋いでくださったのは、この方なんです!
「いずし落語笑学校」や「大向う鸛の会」の代表をつとめられている、懐深く温かい方。
出石の街そのもの。

渋谷朋矢さん
「出石小唄」蘇りの立役者!音楽の趣味が扇田さんと一致して盛り上がっていました。
もっとお話ししたかった!

そして赤浦 毅 館長
ミスター永楽館、赤浦館長!
赤浦館長の「なんでもやりまっせ」の言葉が私たちにどれだけ大きな勇気をくださったことか。
赤浦館長あっての永楽館。俳優顔負けの素敵な館長さんです!

[かわいい][かわいい][かわいい]

私たちは、去年蘇ったばかりの「出石小唄」も作中に取り上げて、
滞在初日から連日、街の方々と稽古を重ねました。
永楽館で現代演劇のカンパニーが上演をするのは、街の方々にとってもほぼ初めての体験。
最初は戸惑いもあったそうですが、
舞台の小道具を街を巡って揃えていくなど創る過程を共有するうちに、
永楽館を通して、カンパニーと街とが同じ熱を帯びるようになっていきました。

永楽館での稽古には、出石支所長をはじめ沢山の街の方々が見学に来てくださり、
本番前には、小雨が降る夜の道で、街の方々が自主稽古をされていたりもしました。

そして迎えた本番……。

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佐藤 誓
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石村みか
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中村シユン・石村みか
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福田温子・石村みか
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根本大介・久我真希人
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中田春介
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伊東 潤
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近藤フク
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久我真希人
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扇田森也
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榮木健二
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福田温子・伊東 潤
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佐藤 誓・小山萌子
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佐藤 誓・近藤フク
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小山萌子・石村みか
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佐藤 誓・石村みか
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福田温子・石村みか

(撮影/中才知弥)

集客の心配は吹き飛びました。永楽館の赤浦館長はじめ、
出石の街の方々が中心となって、呼びかけてくださり、
二日間で計五〇〇名のお客様が観に来てくださいました!
舞台も、永楽館自体が劇に奥行きと世界観を与えてくれ、
この小屋でしか味わえない熱を感じることができました。
また出石のエキストラの方々が出演する場は、大変に盛り上がりました。

千秋楽のカーテンコールでは「大当たりィ!」と温かな大向うの声が掛かり、
祝幕が引かれた舞台中では、カンパニーとエキストラの方々が共に涙する一幕もありました。

地域と深く結びついて実現した劇作家大会。
困難は様々ありましたが、
それでも予想も想像も及びもつかないほど大切な経験をさせていただきました。
しばしの間でも共に過ごした劇作家たちがそれぞれの場に戻り活動を続けていく。
一つ一つの光の瞬きを思い描くことは、これからの大きな勇気になりそうです。

そして出石という素敵な街との出会いも……

共に創り上げたひとつの公演が終わり、
ここから、また新たな始まりとなりそうです。

出石の街の皆さん、いらしてくださいました皆さま、
そしてこの大きな大会を支えてくださった全ての方に……

本当にありがとうございました!!

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一年に一回永楽館に行きたいーっ。

私たちにとって大切な故郷が増えました![黒ハート]



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アーティストインタビュー・『地を渡る舟』作品紹介掲載のご案内 [演劇ユニットてがみ座]

国際交流基金-日本と世界を繋ぐバイリンガル舞台芸術サイト-
『Performing Arts Network Japan』に、
てがみ座『地を渡る舟』の作品紹介と長田育恵インタビューが掲載されました。
(てがみ座 公式HPより転載)

★『Performing Arts Network Japan』TOPページ
http://performingarts.jp/indexj.html


★『日本の舞台芸術-今月の戯曲』

てがみ座『地を渡る舟』
http://performingarts.jp/J/play/1.html

第17回鶴屋南北戯曲賞ノミネート、第58回岸田戯曲賞ノミネート(最終発表2月19日)作品。昭和初期、私財を投じて「アチック・ミューゼアム」(「屋根裏の博物館」の意)をつくった銀行家で民俗学者の渋沢敬三。同志として膨大なフィールドワークを行った在野の民俗学者・宮本常一の二人を主人公にした“記憶”を伝えるものたちの評伝劇。


★『アーティストインタビュー』

長田育恵
『崖っぷちを生き抜く人間力を描く』
http://performingarts.jp/J/art_interview/1.html

評伝劇の旗手として注目されているのが、演劇ユニット「てがみ座」を主宰する劇作家の長田育恵(1977年生まれ)だ。東京・馬込の文士村近くで育ち、子どもの頃から物書きに憧れていた長田は、早稲田大学文芸専修に進学。たまたま手掛けたミュージカル脚本がきかっけで生の舞台の面白さに目覚め、働きながら劇作家協会の戯曲セミナーで劇作を学んだ経歴をもつ。これまで発表した主な作品は、怪奇小説作家の江戸川乱歩こと平井太郎と妻の隆子との出会いを題材にした『乱歩の恋文』(2010年)、童謡詩人の金子みすゞこと金子テルと夫との関係を題材にした『空のハモニカーわたしがみすゞだった頃のこと』(2011年)、宮沢賢治の樺太への旅を題材にした『青のはてー銀河鉄道前奏曲(プレリュード)』(2012年)、渋沢敬三が私財を投じて創った民俗学研究所『屋根裏の博物館(アチック・ミューゼアム)』と在野の民俗学者・宮本常一を題材にした『地を渡る舟ー1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち』と、いずれも実在する人物を主人公にしたものだ。膨大な資料を読み込み、舞台となる土地を訪ね、その果てに長田が掴み取った言葉で描いた作品には、時代の断層を生き抜き、崖っぷちで踏みとどまった人々の人間力が込められている。故・井上ひさしに個人研修生として師事したこともある長田に、評伝劇に込めた思いと、これまでの歩みを語ってもらった。
(聞き手:大堀久美子)

***
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てがみ座 写真で振り返る「夏のおたより」 [演劇ユニットてがみ座]

夜に表に出たら、思いがけず爽やかな風と虫の声……、
ああ、秋が来ているんだね。月の光彩がとても綺麗。
てがみ座「夏のおたより」の公演が終わったら、気付くと夏が過ぎていました。

8月25日・26日、てがみ座の俳優陣による俳優勉強会「夏のおたより」を
江古田にある小さなカフェ「兎亭」にて開催いたしました。
ご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました!
この小さなカフェでの企画は、てがみ座では初めてのこと。
お客さまの息遣いを間近で感じ、親しく言葉を交わせる機会は
俳優陣にとって初めてでしたので、ものすごく鮮烈な二日間となりました。

上演した演目は、別役実さんの『眠っちゃいけない子守歌』。
別役実さんに上演許可をお願いするお手紙を一人ずつしたため、
お返事をいただくというところから始まりました。

この企画は、てがみ座の俳優陣たちが企画して進めた、手作りの公演。
私自身も、どうなることか精一杯応援していました……
でもでも、最初に予想していたよりもずっとずっと大事な機会になりました……
到達したからこそ、足りないことが見えてくる。もっと欲張りになってくる。
だけどそれは、平地にいたんじゃ見えないこと。
最初はおっかなびっくり、だけど最後はワイワイと
一人で歩くよりも高い山を登った夏の日々でした。

傍で見ていて
いちばん……、いちばんね、心に残った瞬間は、
このカフェ公演の最初のお客さまからの注文メールが来たときに、
福田温子が嬉しくて涙ぐんでいたこと。
あの瞬間に「ああ、この企画をやって貰って良かったなぁ……!」と心から思いました。

自分のところの劇団員だけど、温子(おんこ)って書きます。
これまでの公演だって、温子は公演を観に来てくださるお客さまに対する想いを人一倍持っていて、
これ以上どう感謝したらいいか分からないくらい、溢れるような感謝を抱いていたのだけれど
それでも、今回のお客さまとのつながり方は、これまでのものとは違うものだったのだと思います。

やはり、公演全体の責任者の任を担わないと味わえないことがあるのかもしれません。
たぶん覚悟が違う。
作品作りに対する覚悟。制作者としての金銭的な責任。お客さまへの想い。
共に創る仲間への信頼。
「本当にお客さまが来てくださるのか」「自分たちはそれに応えることができるのか」
「どんな舞台を創ることができるのか」「どこまで行けるのか」……
温子も、背水の陣にたったひとり立つような緊張の絶頂で、
お客さまからのメールをいただいて、
思わず、これまでとは違う種類の想いが押し寄せてきたんだと思います。
「いらしていただく一人一人のお客さまに、飛んでいって想いを伝えたい」、
そんなふうにも話していました。

言葉にするのは、とても難しいです。
そういう想いはいくら説明しようとしても、頭でしか理解できない。
腹から理解するには、もしかしたら主宰でなくては味わえないことかもしれないのです。
だけどこれからは、てがみ座の全員でそういう想いも共有していける……
それは大きな宝物になっていくのだと思います。

そして今回は、二人芝居。一時間の上演時間を二人の役者だけで演じ抜く。
自分を晒して、逃げ場がない場所で、劇空間を立ち上げる。
俳優陣全員がこうした経験が初めてで、
演技に対しても真剣に稽古し合って語り合って……真っ正面から取り組んでいました。

ではでは写真で振り返る、てがみ座「夏のおたより」です。

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カフェ兎亭にしつらえた舞台空間。小さな部屋が出来上がりました。

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福祉の会から派遣されて訪ねてくる女1、福田温子。

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「世界」について語る男1、箱田暁史。

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ダブルキャストで演じた、もう一人の女1、今泉 舞。
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エチオピア人とチェコスロバキア人のように会話が進む中で、
男の心にある過去の情景が蘇り……
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小さな家にあかりが灯り……、
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そうして男は、永い眠りにつくのです……。
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尾﨑宇内も、9月4日から別な劇団に客演しますが
駆けつけて音響と照明を担当しました。


別役実さんの苦い孤独と微かなつながり。
世界が終わる最後のひとときに
ほんの少しの時間、居合わせた二人。
絆なんて大袈裟に呼ばわるものではなく
このくらい、ささやかなものぐらいしか信じられるもんなんてないんじゃないか?と囁く声……。

夏の日々、たくさんの時間を共に過ごしました。
長い合宿のように、共に磨きあって、みんな少し大きくなったかもしれません。

私も負けてられないなぁ。
みんなから確かなバトンを受け取って、新作執筆の日々です……!

小さなカフェにご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました!
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二つのおそれと、「夏のおたより」真夏の稽古場! [演劇ユニットてがみ座]

昨日は、午前中から雷と雨がすごかったね。
水が溢れる映像がテレビで流れてる。
この狭い日本で「余所事」のようにただ画面を眺めている自分に違和感を感じてしまう。
違和感を意識しながら、「自我」が及ぶ範囲を広く広く押し広げていくこと……
それが今の私たちに課されていることなのかもしれないね。

きのう、パブリックシアターで朗読劇 『この子たちの夏 1945・ヒロシマ ナガサキ』を観てきました。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/08/_1945_1.html
なにひとつ色褪せていない、生々しさ。
文学座リーディングでお世話になった高橋礼恵さんや大好きな西山水木さんなど
六人の達者な女優さんが、リーディングの元となった手記を書かれた
そのお一人お一人の個性や背景までも表わす豊かな読み方をしてくださっているから、
よけいに……、そこに生きたお一人お一人と言葉を交わしたような思いになる。
ここにあるのは、普遍的な母と子の物語なのだと思う。

聴きながら、劇場を見渡して
いまここにいて同じ思いを共有する方々、
そして、こうした場に来られなくても、8月の日付に心を寄せる方々を思った。
それは逆説的に、既に関心をもっていない、
戦争をどこか遠くの物語なのだと感じている人々が増えてきているということを考えることで
観ながら何度も鳥肌が立った。

私も、祖父は満州へ行っていたけれど、
その時のことをしっかり聞けるほど私自身が成熟するよりも前に
祖父を喪ってしまっている。
私たちの世代で、手を伸ばして、ぎりぎりその実感の一端を掴み取れるというところなのだと思う。
だから、この先の世代には本当に、
戦争が「どこか遠くの物語」「教科書の中にだけあること」になってしまうのではないか。

私たちが、わからないながらも手を伸ばして、その実感を掴み取って、
聞こえない声に耳を澄まして。
私たちの次の世代に手渡す。
私たちが中継しないと、この声はきっとなくなってしまう。掻き消えてしまう。
リーディングを聴きながら、同時に感じていたのは
過去に起こった惨劇の痛みと未来への戦慄。二つの怖れ。

ああ、私たちがやらなきゃいけないことがある。
ひしひしと。そんなふうに感じました。

***

そんな真夏。いや、真夏は通り過ぎたのかな。
夜に風が思いがけず爽やかだと「マズイ、秋が来よる!!」と焦りまくります。

いまは、てがみ座の新作の準備に向かいながら……、
てがみ座自体は稽古の日々です。

てがみ座は、いま俳優たちの自主企画である勉強会「夏のおたより」を稽古中。
(季節ごとにやっていこう的な意気込みがいかにも見える、素敵なタイトル!)
と、こちらを進めながらも、同時進行で様々なことが進んでいるという状況。
時がぎゅんぎゅん過ぎていきますよ!
はあ……、今が8月1日ならいいのに、と真剣に心の中で呟く(声にも出ますが)。

だけどね、この稽古の日々が、ほんとうにかけがえのないものになっています。
2009年にソロユニット的な性質ではじめたてがみ座に、
ちゃんと所属俳優が入ったのは2011年1月。
こうして劇団員だけで何かをやるのは、実は初めてなんです。

この毎日を重ねながら、私たちはお互いを、より深く知っていってる。
互いが秘めた可能性、反応速度、感性、
ウィークポイント、矜恃、弱い心と戦いながら踏み出す一歩、
今、変わりたいと願う心、変わろうとしている瞬間……
そういう、小さな一つ一つの瞬間に、胸を打たれたり目が醒めるような思いをしたりしています。

てがみ座 俳優勉強会「夏のおたより」
『眠っちゃいけない子守歌』 作 別役 実
http://tegamiza.net/take8/

江古田にある小さなカフェ、兎亭というところで上演します。
アトリエのような場所で、珈琲を飲みながら稽古が出来るという、
珈琲不可欠人種にはたまらない空間。

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なにやら奮闘中……な福田温子・箱田暁史・今泉 舞の出演陣。

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盛り上がっております女子二名。

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音響や照明、裏方全般を担ってくれてる尾﨑宇内。

彼は、9月4日~10日本番で「ラフメーカー」さんの舞台に出演。
本番前の稽古を縫って、裏方に駆けつけています。
http://www.rough-maker.com/

それぞれ全く違う生い立ち、生きてきた時間を重ねながら、
いま、ここで、共に何かを創り出そうとしてる。

お席、まだもう少しありそうですので、是非遊びに来てください!
お話しもたくさんしたいです。
笑い合いたいです。

全力でやっていこう。なにか、一つでも伝えていくために。

新作も、もうすぐ書き出すのですよ。
素敵な公演にするのですよ!!
書き出す前がいちばん、どきどきしてます……

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桜が咲くような。―リーディング公演「カシオペア」、終了! [演劇ユニットてがみ座]

終わってからもしばらくはずっと、音楽が心の中に響いてた。
この舞台のために松田幹(モトイ)くんが書き下ろしてくれた曲。
ことばの代わりにあふれだした感情を、やわらかな音符で描いてくれた。

4月5日、リーディング公演「カシオペア」が終わりました。
観に来てくださった方、本当にありがとうございました!
この公演は、「みきかせプロジェクト『乱反射ドロップ』」に参加した公演。
一緒に共演したのは、こゆび侍さん、本田ライダーズさん、シンクロ少女さん。
どれもほんとうに面白くて
肌触りも見せ方も舞台づくりも目指したものも
これでもかってほど各劇団のカラーが違ってて、
すごく楽しかったです。
出会えて、本当によかった!
これから肩を並べて走っていけるかと思うと、わくわくするような。


さて、てがみ座が始めて向き合ったリーディング公演。
一度上演した「カシオペア」を再度リーディングで上演するためには、
完成したものを解体し、またイチから創りあげていく作業。
オリジナルキャストであった扇田さんも、
前回の記憶を捨て去り、まっさらな地点に立つことからはじめられていました。

リーディングに至るまでには様々な過程がありました。
今回のプロジェクトに参加した4劇団すべてがおそらくそうだけれど
『リーディングとはなんぞや?』という問に直面することから始まって、
それぞれの劇団が、自分の劇団が取るべき答えを見つけていった気がします。
てがみ座でも、
「ト書きを読むか読まないか」
「行間をどう立ち上がらせていくのか」
「リーディングにおいて重要なのは果たしてテキストをそのまま伝えることなのか?」
「舞台表現との兼ね合いは?」
さまざまなキーワードが飛び交い、稽古場でのディスカッションを何度も行ってきました。

そして……
演出家の田中圭介くんが創り上げたのは、
「脚本×俳優×音楽」というそれぞれの素材を丁寧に吟味し、
素材本来が持つ味を存分に引きだし、響かせあう舞台。
まるで自然光に満たされた、やわらかく透明度の高い舞台に
音にはならない声や、目には見えない色までも織り込んだ。

音にならない声。目に見えない色。
それは、ささやかで素朴で、本当にかけがえのないもの。

それをリーディング公演に織り込むことができるなんて、
なんて幸せなんだろう。
体感したのは、
私自身が当初リーディング公演に対して抱いていたイメージよりも
はるかに豊かで、詩情に溢れた劇空間。

今回舞台の上演のための、本当に素敵な俳優陣。
3ステージを日替わり3組のペアで。
これがもう心から楽しかった。
どのペアも全く違うカラーを持っていて。
二人だけの世界が生まれる。
実は、その世界を引き出すために、演出もペアによって絶妙に変えてありました。
俳優陣が誰もみんな、この脚本と世界観を
心から愛してくれました。
かけがえのない時間として、大切に取り組んでくれた。
それが本当に幸せでした。

【大場泰正×渋谷はるか】

洗練された安定感。はるかちゃんの詩情、泰正さんの秀逸な存在感。
本番の光の中で、このふたりは、いちばんリラックスして泳ぎ出す、その心地よさ。役者力。
空気の色までやわらかく染めてしまう、上質で丁寧な、温かな舞台。

【尾崎宇内×福原まゆみ】

等身大の二人の姿。今しかない、淡さや脆さ、きらめくような喜び。
過ぎていくかけがえのない時間を、愛しむような二人の芝居。ここにしかないもの。
胸に響く甘さと切なさのある、フレッシュな舞台。

【扇田拓也×大庭 藍】

なんとも魅力的な二人。二人の魅力に惹きつけられて、うんと遠い場所までいっしょにいけるような。
ニュアンスもあふれだす想いも、舞台上の呼吸の中で生まれていった。
一瞬一瞬、二人が出会いなおしていくように見えて、目が離せなかった。


大好きなひとたちへの愛しさをかみしめるような、そんな舞台。
お花見は出来なかったけれど、満開の桜が咲くような、
そんな舞台空間でした。


しばらくは「愛しさ」の余韻を楽しみながら……、

さあ、行こう。


次は外注のお仕事です。気合いを入れなおして。
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みきかせプロジェクト参加!リーディング公演「カシオペア」 [演劇ユニットてがみ座]

ただいま、上演中なんです。
またもやブロク書けなかった~……!

すごく。贅沢な時間を過ごしています!
声かけいただいた4劇団によるリーディング公演
【みきかせプロジェクト『乱反射ドロップ』】にてがみ座も参加しています。
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=19019

てがみ座は、初演で大好評いただいた「カシオペア」を
3ステージの日替わりキャストでお贈りしています。

4月2日は、大場泰正(文学座)×渋谷はるか(文学座)
今夜3日は、尾崎宇内×福原まゆみ(俳優座)
そして明日4月4日は、扇田拓也さん(ヒンドゥー五千回)×大庭 藍(俳優座)

1ステージ限りなので、毎日 初日&千秋楽で、喜びとさみしさと。
そのかわりに、ものすごくかけがえのない時間なんだとかみしめている。
脚本に書かれた役の「今」と、
役者自身の「今」この瞬間が、交差するようにかさねあうように
そのまま舞台に現れるかのような公演。
明日までですが、観ていただきたいです、たくさんの方に!

しかも、今回は4劇団合同で2劇団ずつの上演なので、
すごく企画性の高い舞台になっています。
4劇団どれもが全く違うカラーをもち、
それぞれの言葉・舞台表現を創りあげている。
刺激的、そして、新しいつながりが生まれる場所。

チケットは、こりっちにある「みきかせプロジェクト『乱反射ドロップ』」サイトへ。
よろしくお願いします!
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2009年度佐藤佐吉賞 優秀舞台美術賞(5団体)に選出! [演劇ユニットてがみ座]

こんにちは!
体調、なかなか本快になりません。あと咳がね……しつこく残っています。
喉の炎症が治らないとだめみたいなんだけど、
なんだかんだ言って毎晩予定が入ってしまっているから仕方ないかな~……
でも寝込んでいた分、気持ちはずいぶん元気になってきました!
今は、小刻みに清算会を行っていて(役者陣が既に他の舞台に散っているため)
22時ころから稽古終わりの役者陣と会うんだけど、面白いです。
めちゃくちゃ短い時間に清算と近況報告とこないだの舞台の楽屋話と……てんやわんや!です。

さて
王子小劇場独自の制度で
王子小劇場で上演された作品の中からその年の優秀な作品が選ばれる佐藤佐吉賞というのがあります。
2009年度の賞が発表になり、優秀舞台美術賞(5団体)に
杉山 至+(鴉屋)[演劇ユニットてがみ座「ありふれた惑星」美術]が選ばれました。

これはもう、評価していただいて素直に嬉しいです~!
心の底から大好きな劇空間だったので。

杉山至さんの舞台美術の素晴らしさについては、過去の記事でも紹介しているとおり、
もはやね、言うまでもなく、
さらに、ありふれた惑星のあの舞台では、家具や雑貨・本・CD、
はたまた「鉄屑の空」町工場の工員メンバーの皆さまによる個人ロッカーの充実っぷり・
注意の貼紙・力作の手作りお弁当メニューなど、
みんなのこだわりと創意工夫がぎゅっと詰まって、リアリティある楽しい舞台空間が出来上がっていました!
持ってくる本の内容も、役柄と合わせて厳選していたものね。
役者陣が私物を沢山持ってきてくださって、またかわいいメニューなんかも創っていただいて。

そして何より、あの転換。二本連続上演の間に、装置丸ごと大転換をしたのですが
キビキビ動いてくださった3分間の転換時間を入れて、それが込みでの舞台美術でしたから!
転換だけでももう一度観たいくらいの舞台……(笑)

「ありふれた惑星」にご出演くださった役者の皆さんへも本当に感謝です。
ありがとうございました☆

またいい舞台空間創っていけるよう、がんばります!

それにしても
王子小劇場の新年会&授賞式には、本当にたくさんの上演劇団が来ていて
演劇人同士、ものすごく豊かな交流フィールドになっていました。
王子小劇場は出来て12年目だって。
設立当初から今の王子が確立されるまで、どういう流れがあったのか知りたいなと思いました。
王子小劇場自体は設立当初から強烈に個性を打ち出していたのでしょうか。
だからこその、今。

劇場自体から『ここから劇団を育てていこう』『日本の現代演劇界を支える基盤となろう』って信念が
強い実感として伝わってくるところは本当にいい。
面白いことが始まりそうな、そんな予感がする。
クリエイティビティを持っていてくれる劇場、個性と意思のある劇場。「目」を持っている劇場。
上演するならやっぱり、そういうところで劇場と共に作品を創り上げたいと思ってしまう。
小劇場ならば、下北沢本多グループ、アゴラ、王子小劇場がやっぱり目立っている。
それにシアターグリーン、サンモールスタジオなどなど。
公共ならば、世田谷パブリックシアター、三鷹、野田さん芸術監督就任の芸劇などなど。
座・高円寺もこれから行く末が楽しみな劇場。

作品を上演するためには、「劇場」が絶対必要。
稽古場でいかにいいものを創っていても、「劇場」に入ってからでなくちゃどうなるかわからない。
そう考えると、劇場は、作品にとって最後に命を吹き込む場所なんだよね。

次回の上演は、今年の秋。11月頭。王子小劇場です!
11月3日~8日の予定です。
詳細はまた分かり次第。演出家は先日決定しました!!!
……きっとすごく素敵なことになりそうです!


今週は既に新しい仕事に取り掛かっています。それは舞台の仕事ではないんだ。
まったく初めての映像というフィールドにとうとう足を踏み出しました。
右も左も分からない……ただ、目の前のことを一生懸命やるだけ、です。
自分なりの何かコツのようなものが早くつかめるようになるといいな。
今はもう、ゼロ地点です。こっからはじめる。はじめるしかないです。はじめます。

公演終わったらやろうってFFⅩⅢを年末から買ってスタンバイしてんだけどな~
このためにプレステ3を今回買ったんだけどな~
3時間くらいはプレイしたんだけど全然まだ自由に動けるとこにいけてないんですが……
今回のFFって評判どうなん?どうなん?!いいのこれで?!

それでは、また!

今月は、面白い舞台いっぱいやっているから、忙しいね!

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「光る河」を越えて [演劇ユニットてがみ座]

てがみ座第2回公演「光る河」、無事に終わりました。
ご観劇いただいた皆さま、
劇場にはお越しいただけなかったけれど気にかけてくださった方々、
ありがとうございました!
今回1,000人以上の方が劇場にお越しくださいました。
動員1,000を越えるということが今回掲げていた目標のひとつでもありました。
新年のお忙しい時期にも関わらず、
多くの方に支えていただき、本当に……感謝です。
心から、ありがとうございました。

11日に終演してから12日に荷返しを受け取り、
13日・14日と残務処理をうするうちに
疲れが来たのか、ウイルス性の腸炎で倒れ……
去年の秋以降分、まとめて倒れました。
20時間くらい眠り続けてたんじゃないかなぁ……。
吐き気がするから起きていられないんだけれど、
寝ていると腰が痛くて動けない。
眠って眠って……今やっと、動けるようになってきました。

熱の中でなんでも声が響いていました。
舞台の上で聞いてきた声。
光が射す、河川敷の景色。

「劇」小劇場を使わせていただくことが決まっていたのは、去年の一月。
この一年でずいぶん遠くまで来た気がします。
でもやっと出発地点に立てた気もします。

これまでの、脚本の依頼をいただいて、
いただく要望を120%満たして納得していただけるものを書き続ける大変さと
今、主宰として一人立ち、自分が書こうとするものを自分の手で上演する大変さ、
全く別のスキルだとは思っていたけれど、こうまで違うとは。
だから、だからこそ
今はじめてよかった。今はじめなきゃならなかった。

今回も素晴らしい座組みに恵まれました。

1回ごとのコラボレーションはこわい……という思いもあると書いたけれど、
それを越えていく未知なる楽しさ。
一緒に走り抜けることができる仲間と、尊敬する演劇人の方々と出会えていく喜び。
こんなにも嬉しいことって、他にないです。

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(撮影/伊藤雅章)



キャストの方々は、ともに、楽ではない旅を一緒に走り抜けてくれました。

主演の大場泰正さん、村井美樹ちゃんは、本当に深い……深い場所まで辿り着いてくれた。
場が進むごとに二人の絆の在りようが少しずつ変化を重ねていく、難しい役。
最後の、河川敷では、不器用ながら自分たちの居場所を見つけた二人が
これから歩いていく姿が、とても眩しかったです。

浮浪者アキノという、とても難しい大役を担ってくださった奈良谷優季さん。
本当に、最後の最後まで戦い抜いてくださいました。

越智を演じてもらった大石丈太郎さん。情熱(ハート)がある役は彼をおいては考えられない。
親子二世代にわたる物語を背負って出てくれた。猫好きでホームレスとも仲良くて……変なお巡りさん。
でも、丈さんが演じてくれると、ああ、こういうお巡りさんがいてくれるなら日本は大丈夫って思える。

倉橋を演じてもらった武谷公雄さん。武ちゃん。
長い付き合いだけど、役者としての武ちゃんから目が離せなくなったのは、初めて。
武ちゃんに演じてもらえて、心からよかった。(河川敷でカニを焼いて食べるのはもうやめてください)

尾崎宇内くん。彼がいてくれたから、この物語が未来へ続く話となった。
ものすごく純度の高い眼差しに惹かれてしまう。彼はあっという間に大きくなるんだろうな。

田村 元さん。面白かったなぁ。不器用でね、その不器用さもなんだかいとしくなるような役者。
舞台上の元さんもさることながら、楽屋の話題も独り占めでした。

石井 統さん。オサムちゃん。てがみ座に欠かすことの出来ない役者さんです。もう勝手に。
オサムちゃんの代わりは誰にもできないよ。(滑舌とかもーどーでもいいです)

由香理さん。稽古場初日から最も変わったのは由香理さんだと思う。
ああ、こういう人本当にいる!とテレビ局関係者大絶賛でした。役を本当に「生きて」くれたんだと思う。

樋口史緒里ちゃん。しおりちゃんは人を明るくする天才なんだよね。
エスパー?!ってくらいに必要な時に明るさをくれる。しおりちゃんのシーンは、幸せでした。面白かったね。

高宮尚貴くん。高宮くんの笑顔が、どんなせりふも吹き飛ばすくらいの説得力をもってました。
健気に毎日を一生懸命生きているひとを、高宮くんに演じてもらえてよかったなぁ。
明るさと心をありがとう。

役者はみんな、その「役」の生に到達するのが遠くて、
本番に入っても、もがき続けてくれた。
本当に千秋楽の最後のステージまで、辿り着く道を探し続けてくれた。
その分、ひとりひとりの役がすべて愛おしくてたまらなくて。
いい加減な役はひとつもなかった。全部の役に血が通っていて。

今回の舞台では、
今はもういない人の気配さえも立ち上がらせようとしました。
それが今回の物語を劇場空間で立ち上げたかった理由でもあります。

生きている人、今はもういなくなってしまった人、
辛いことがあっても明日には日がまた昇る、
そうやって繰り返す営みを、河川敷の景色を
様々な視点から描いてみたかった。

虚構の中の劇場で、まるで本当にその景色に立ち会ったかのように
今、私の中には、午後の白い光に満ちた河川敷があります。
きれいなものもきたないものも内包して、内側から放つ光。


関わってくださったすべての方に。

本当にありがとうございました。
遅くなりましたが、心からの感謝を!


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