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2016年、ありがとうございました [日々雑感]

久しぶりのブログです。2016年もまもなく終わりますね。
本年も沢山の皆さまに、私自身、そして「てがみ座」を支えていただきました。
本当にありがとうございました!

2016年は、私にとって、自分の地面を確認しながら更に大きく踏み出していく、
そんな一年でした。
舞台の新作は三本。

てがみ座 3月『対岸の永遠』では、シアター風姿花伝のプロミシング・カンパニーに選出され、1ヶ月間のロングラン公演をいたしました。

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同じく、てがみ座 11月『燦々』は、座・高円寺での上演のほか、出石の永楽館にて、永楽館バージョンでも上演しました。

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そして劇団民藝さんに書き下ろしました12月 三越劇場『SOETSUー韓(から)くにの白き太陽ー』。
5月には、演出を担当される丹野郁弓さん、制作の金本和明さんと初めての韓国取材へ。

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今年執筆した三作品は、私にとって、大きな意味のある作品となりました。
挑戦したからこそ感じられる痛みも喜び。
ささやかでも確かに掴み取ったもの。
仰ぎ見た遙かな頂き。
今の私の現在地を知り、新たな目標も生まれました。

なによりも、今年感じたことは、
これまで以上に、私自身が外の世界と繋がりはじめたということです。
劇場でお会いするお客様、
そして上演活動で関わりを持たせていただく地域や劇場、
その向こうにある土地や社会……、
繋がりあい、感じ取る中で、
私に出来ることがあるのではないか。
演劇の力で豊かに出来ることがあるのではないかと感じられた一年でした。

これからどんな作品を生み出していけるか。

一作毎に新鮮な挑戦を重ねながら、力を尽くせるように。


2016年、ご観劇くださいました皆さま、支えてくださった皆さま、
本当にありがとうございました!

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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てがみ座「燦々」東京公演、明日までです! [てがみ座「燦々」]

てがみ座「燦々」東京公演、残りあと3ステージとなりました。
特設サイトはこちら
東京 座・高円寺にて13日まで上演中です!
各回当日券がございますので、是非ご覧ください。

☆本日劇評などが新聞掲載されましたのでご紹介します。

産経新聞「鑑賞眼」
「てがみ座「燦々」表現者の業 追求にすがすがしさ」

毎日新聞「気鋭に迫る」
取材していただきました。記者は濱田元子さんです。
「気鋭に迫る:フィールドワーク、根幹に 劇作家・長田育恵」

ツイッターにお寄せいただいたご感想まとめを更新しました!
こちらです!


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チラシは漫画家の五十嵐大介さんの描き下ろしイラストです!

チラシ 裏.jpg

東京公演終了後は、出石の永楽館で「芝居小屋バージョン」として上演いたします!
地元の皆さんにも加わっていただいて、共に創作し直します。
出石の永楽館とのタッグは2014年の『乱歩の恋文』以来!とても楽しみです。

出石公演の情報はこちら
主催:城崎国際アートセンター

てがみ座「燦々」多くの方にご覧いただきたい作品です。
東京公演・出石公演、ともに劇団員一同お待ちいたしております!![ぴかぴか(新しい)]
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てがみ座「対岸の永遠」を書くまで [演劇ユニットてがみ座]

こんにちは!久しぶりの更新です。
インフルエンザが流行ってますね。今はてがみ座は毎日稽古をしていて
3月は劇団初めての一ヶ月ロングランですから、
座組の全員が心身共に健康で、充実して過ごせるように
ほんとうに祈るような思いです。
インフルエンザって予防接種していても違う型のを掛かってしまうことがあるそうなので、座組もお客様も、どうか元気でお会いできますように!


そうなんです。今は稽古の日々。
てがみ座の3月公演『対岸の永遠』について書きたいと思います。

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今回、シアター風姿花伝という劇場のプロミシング・カンパニーに選出されておりまして、一ヶ月のロングラン公演という劇団にとって新たな挑戦をさせていただくことになりました。

新作、何を書こうかと考えてみたときに
今回は、より人間の内奥に触れる作品を書いてみたいと思いました。

幾重にも重なる景色、それは人間の記憶。
闇の描写が浮き上がらせる光。
そのレイヤーが織りなす世界。

そんな作品を書いてみたいと思い、
また、2015年末のパリやトルコでのテロ事件の空気を呼吸し、
詩人ヨシフ・ブロツキーと都市レニングラードの関係性から着想した物語を編み上げていきました。


ヨシフ・ブロツキーは、ソ連時代にロシアを追放された詩人です。
アメリカに渡ってから詩人としてノーベル文学賞を受賞しました。
今回は、評伝ではなく、「亡命者となった詩人と祖国」という枠組みだけを借りて新しい物語を創作してきました。

実は、この「大切な場所を喪うことで、逆説的に、心の中で永遠に繋がる」というテーマは
私にとって自分の作家としての根幹を成すものなのだと思います。

18歳の時に、生まれて初めて書いてみた脚本は『ランド』という作品でした。
これも三人の主人公達が自分の故郷である大切な場所から旅立つことを余儀なくされるところから物語が始まりました。
学生時代に書いていた作品は、架空世界に設定したり日本の現実の社会を設定したり
いろいろ変奏はありつつも
いつもそんなことが内奥されているものだったように思います。

てがみ座を旗揚げしてからもそういうテーマで創った作品として
『線のほとりで舞う花を』があります。
これは国境を巡って迫害されていくロマ(ジプシー)の姉妹を軸にした物語で
音楽やダンスも取り入れてポエティックな仕立てに変奏していましたが
震災直後の4月に上演していたもので、自分にとっては殊に特別な作品となっていました。


今回は、シアター風姿花伝という劇場
(支配人で女優の那須佐代子さんがプロデュースで意欲的な作品を次々上演なさっています)
そして、上村聡史さんという海外作品に造詣の深い演出家と出会えましたので
一度、書いてみたかったことを思いきり、
変奏などの形をとらずに、正面から書き切ってみようと思いました。

それで、いよいよ「亡命者となった詩人と祖国」の物語です。
物語の軸を、心と心の共振にするために、父と娘を主人公に据えました。

舞台に設定したレニングラード(現サンクトペテルブルク)という場所は
これもまた私にとって魅力的な響きを持つ街なんです。
普段は、物語を書く前に現地に取材に行って実際の景色を取り込んでくるのが
私にとって「書く」という行為に入るためのプロセスなのですが
今回は、レニングラードという街の架空性に惹かれているので
あえて現地には行かないで、書物や映画や写真などを通して街を想像していきました。
(あとは、『青のはて』の取材で行ったサハリンの質感とか)

この街は、バルト海にそそぐネヴァ川の湿地に、
皇帝が突如として建築した沼地にそびえる人工都市なんです。
外見はパリなどのように美しく創られているんですが
いつも水の気配があり、沼地の地面は不安定で
どことなく浮かんでいるような、蜃気楼の街のイメージがあります。
ドストエフスキーや多くの作家が、そのイメージに惹かれて物語の舞台としていますが
なんていうか、私にとっても
人間の記憶の中に留められているような架空性を帯びた街という感覚があります。

今回は、写実ではありますが、
でもどこか人の記憶の中だけに留められている景色を舞台背景としたくて
ここで物語を書きました。

(てがみ座の人たちは、いつも私がどんな新作を書くのかをきっと心の中じゃ戦々恐々としていて
「今度はロシアが舞台です。みんなロシア人です」と言われて内心のけぞったと思います……)


けれど、今、新作を生み出すとして
どうしても視野を広くもって、世界がどう動いていこうとしていくのか
その気配を呼吸しながら書いてみたかった。
世界中の作家がそういう目で新作を創作しているのに
私たちだけが日本に閉じ籠もっていていいのだろうかとも思った。

ここからまた日本を舞台に書くようになりますが
今回書いてみたことで、なにか違った視野が獲得できるかもしれません。

いろんな挑戦に充ちていますが、
それでも、私は、難しすぎるということはないんじゃないかな……と思います。
ロシアがわからなくても、レニングラードがわからなくても
まったく問題なく観ていただけると思います。

描いているのは、人と人が関わり合って生まれる心、ですから。


一ヶ月、長丁場で、
きっといろんなことを感じるんだと思います。
そのすべてを経験としてぎゅっと吸収していきたいと思います!


ぜひぜひ、観に来てください。
公演の詳細はこちらです。


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チケットはこちらにて!



チラシに使用させていただいている写真は、小畑雄嗣さんという写真家の方から
直接お借りしました。
小畑さんは数年前に恵比寿の写真美術館で「スナップショットの魅力」展で知った方で
「二月」と題された写真集から展示された写真にとても惹かれ、
雪の結晶のお写真を『青のはて』に使わせていただきました。

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国境や旧共産圏でも写真を撮られている方で
このテーマを書きたいと思ったときに、小畑さんのお顔が浮かび
イメージ写真をお願いさせていただきました。
私がお伝えしたイメージで、沢山の中からお選びくださった写真です。
大好きなクリエイターの皆さんといっしょに作品を作れるのは本当に幸せです。
小畑雄嗣さんHPはこちら。

では、3月。劇場でお会いしましょう!

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