てがみ座 永楽館公演「乱歩の恋文-芝居小屋バージョン-」を終えて [演劇ユニットてがみ座]
夜の河岸で肩を並べて見る、小さな緑色の光の群れ……。
滞在中の私たちは、一日の終わりに蛍を見に行くことがいつしか日課になっていました。
6月14日~15日、てがみ座「乱歩の恋文ー芝居小屋バージョン-」
日本劇作家大会2014豊岡大会の有料企画として、
兵庫県は出石で一週間の滞在制作を行ってきました!
(撮影/中才知弥)
出演
石村みか・福田温子(以上てがみ座)
佐藤誓・伊東潤・小山萌子・中田春介・近藤フク・久我真希人・根本大介・中村シユン
扇田森也・岸野健太
出石 永楽館。
大会のメイン会場である城崎国際アートセンターから車で約四〇分、
城下町の風情を今に伝える街。
もともとこの街は、大正一四年の北但馬地震で被害を受けた後、
住民たちがどのように復興していくかを話し合い、あえて江戸の残り香が息づく街並へと再建。
また戦前は縮緬産業で栄えましたが、産業に翳りが差す頃、代わりに蕎麦屋へと転向。
以来、続々と蕎麦店を増やし、
現在は「城下町の風情」と「皿そば」を目当てに多くの観光客が訪れるようになっています。
このように、出石は、街の人たち自身が創意工夫の意欲に満ち、
旧き良きものに光を当て、守り育てていこうという気概がある土地です。
そんな街にあり、近畿地方最古の芝居小屋と言われる永楽館は、
まさに出石の人々に愛されてきた劇場。
元々は個人が趣味で建てた芝居小屋で、時代に揉まれ一度は閉館の時を迎えても、
芝居小屋を取り壊すことはせず、有志が定期的に清掃等を行い守ってきました。
そして平成二〇年、現在の中貝市長が就任されて、
豊岡市の文化財として見事蘇りを果たしたのです。
最初にこの小屋を訪れたとき、大正時代の面影を留める懐かしさと同時に、
小屋自体が今なお呼吸しているかのような不思議な清々しさを感じました。
その裸舞台に立って、
滞在制作は永楽館そして出石という街の人々と共に創り上げる作品にしようと決めました。
上演作品自体は東京で過去に二回上演したことのあるものでしたが、
今回は全く新しい座組での挑戦となりました。
本当に素敵な俳優の皆さまがご出演くださいました!!
いつか必ず東京公演も実現させようと心に誓うほど……!
そして
出石ならではの「芝居小屋バージョン」として改訂、街からも五名のエキストラを迎えました。
参加してくださったのは、地元の落語会「いずし落語笑学校」や「大向う鸛の会」所属の皆さん。蕎麦屋の店主をはじめ稲荷神社の総代やフードショップの経営者などバラエティ豊かな方々です。
ここでちょっとご紹介!
榮木健二さん
出石が誇るとびっきりのエンターテイナー。我らが町会長☆
ちょっぴり口が悪いけど、頼りになるアニキといった存在!
藤井博義さん
少し照れて、どこかニヒルな笑顔が格好いい、名俳優の雰囲気をまとうお方!
日足勝己さん
滞在中にずーっとお世話になった「フードショップ日足」のかっちゃん!
お店を覗いて目が合っては、いつもとびきりの笑顔をくれました。
片山正之さん
物静かな雰囲気で、だけど目の奥でおかしそうに笑っている。
まあちゃんが嬉しそうにしていると、こちらまでとても嬉しくなって。
小松和巳さん
皿そば「花水木」の店主のこまっちゃん!とびきり気持ちが優しくて優しくて。
ちょっぴり涙もろくて。
こまっちゃんの花水木で座組一同楽しい夜を過ごしました!!
渋谷勝彦さん
皿そば「甚兵衛」店主の渋谷さん。私たちと出石を繋いでくださったのは、この方なんです!
「いずし落語笑学校」や「大向う鸛の会」の代表をつとめられている、懐深く温かい方。
出石の街そのもの。
渋谷朋矢さん
「出石小唄」蘇りの立役者!音楽の趣味が扇田さんと一致して盛り上がっていました。
もっとお話ししたかった!
そして赤浦 毅 館長
ミスター永楽館、赤浦館長!
赤浦館長の「なんでもやりまっせ」の言葉が私たちにどれだけ大きな勇気をくださったことか。
赤浦館長あっての永楽館。俳優顔負けの素敵な館長さんです!
私たちは、去年蘇ったばかりの「出石小唄」も作中に取り上げて、
滞在初日から連日、街の方々と稽古を重ねました。
永楽館で現代演劇のカンパニーが上演をするのは、街の方々にとってもほぼ初めての体験。
最初は戸惑いもあったそうですが、
舞台の小道具を街を巡って揃えていくなど創る過程を共有するうちに、
永楽館を通して、カンパニーと街とが同じ熱を帯びるようになっていきました。
永楽館での稽古には、出石支所長をはじめ沢山の街の方々が見学に来てくださり、
本番前には、小雨が降る夜の道で、街の方々が自主稽古をされていたりもしました。
そして迎えた本番……。
佐藤 誓
石村みか
中村シユン・石村みか
福田温子・石村みか
根本大介・久我真希人
中田春介
伊東 潤
近藤フク
久我真希人
扇田森也
榮木健二
福田温子・伊東 潤
佐藤 誓・小山萌子
佐藤 誓・近藤フク
小山萌子・石村みか
佐藤 誓・石村みか
福田温子・石村みか
(撮影/中才知弥)
集客の心配は吹き飛びました。永楽館の赤浦館長はじめ、
出石の街の方々が中心となって、呼びかけてくださり、
二日間で計五〇〇名のお客様が観に来てくださいました!
舞台も、永楽館自体が劇に奥行きと世界観を与えてくれ、
この小屋でしか味わえない熱を感じることができました。
また出石のエキストラの方々が出演する場は、大変に盛り上がりました。
千秋楽のカーテンコールでは「大当たりィ!」と温かな大向うの声が掛かり、
祝幕が引かれた舞台中では、カンパニーとエキストラの方々が共に涙する一幕もありました。
地域と深く結びついて実現した劇作家大会。
困難は様々ありましたが、
それでも予想も想像も及びもつかないほど大切な経験をさせていただきました。
しばしの間でも共に過ごした劇作家たちがそれぞれの場に戻り活動を続けていく。
一つ一つの光の瞬きを思い描くことは、これからの大きな勇気になりそうです。
そして出石という素敵な街との出会いも……
共に創り上げたひとつの公演が終わり、
ここから、また新たな始まりとなりそうです。
出石の街の皆さん、いらしてくださいました皆さま、
そしてこの大きな大会を支えてくださった全ての方に……
本当にありがとうございました!!
一年に一回永楽館に行きたいーっ。
私たちにとって大切な故郷が増えました!
滞在中の私たちは、一日の終わりに蛍を見に行くことがいつしか日課になっていました。
6月14日~15日、てがみ座「乱歩の恋文ー芝居小屋バージョン-」
日本劇作家大会2014豊岡大会の有料企画として、
兵庫県は出石で一週間の滞在制作を行ってきました!
(撮影/中才知弥)
出演
石村みか・福田温子(以上てがみ座)
佐藤誓・伊東潤・小山萌子・中田春介・近藤フク・久我真希人・根本大介・中村シユン
扇田森也・岸野健太
出石 永楽館。
大会のメイン会場である城崎国際アートセンターから車で約四〇分、
城下町の風情を今に伝える街。
もともとこの街は、大正一四年の北但馬地震で被害を受けた後、
住民たちがどのように復興していくかを話し合い、あえて江戸の残り香が息づく街並へと再建。
また戦前は縮緬産業で栄えましたが、産業に翳りが差す頃、代わりに蕎麦屋へと転向。
以来、続々と蕎麦店を増やし、
現在は「城下町の風情」と「皿そば」を目当てに多くの観光客が訪れるようになっています。
このように、出石は、街の人たち自身が創意工夫の意欲に満ち、
旧き良きものに光を当て、守り育てていこうという気概がある土地です。
そんな街にあり、近畿地方最古の芝居小屋と言われる永楽館は、
まさに出石の人々に愛されてきた劇場。
元々は個人が趣味で建てた芝居小屋で、時代に揉まれ一度は閉館の時を迎えても、
芝居小屋を取り壊すことはせず、有志が定期的に清掃等を行い守ってきました。
そして平成二〇年、現在の中貝市長が就任されて、
豊岡市の文化財として見事蘇りを果たしたのです。
最初にこの小屋を訪れたとき、大正時代の面影を留める懐かしさと同時に、
小屋自体が今なお呼吸しているかのような不思議な清々しさを感じました。
その裸舞台に立って、
滞在制作は永楽館そして出石という街の人々と共に創り上げる作品にしようと決めました。
上演作品自体は東京で過去に二回上演したことのあるものでしたが、
今回は全く新しい座組での挑戦となりました。
本当に素敵な俳優の皆さまがご出演くださいました!!
いつか必ず東京公演も実現させようと心に誓うほど……!
そして
出石ならではの「芝居小屋バージョン」として改訂、街からも五名のエキストラを迎えました。
参加してくださったのは、地元の落語会「いずし落語笑学校」や「大向う鸛の会」所属の皆さん。蕎麦屋の店主をはじめ稲荷神社の総代やフードショップの経営者などバラエティ豊かな方々です。
ここでちょっとご紹介!
榮木健二さん
出石が誇るとびっきりのエンターテイナー。我らが町会長☆
ちょっぴり口が悪いけど、頼りになるアニキといった存在!
藤井博義さん
少し照れて、どこかニヒルな笑顔が格好いい、名俳優の雰囲気をまとうお方!
日足勝己さん
滞在中にずーっとお世話になった「フードショップ日足」のかっちゃん!
お店を覗いて目が合っては、いつもとびきりの笑顔をくれました。
片山正之さん
物静かな雰囲気で、だけど目の奥でおかしそうに笑っている。
まあちゃんが嬉しそうにしていると、こちらまでとても嬉しくなって。
小松和巳さん
皿そば「花水木」の店主のこまっちゃん!とびきり気持ちが優しくて優しくて。
ちょっぴり涙もろくて。
こまっちゃんの花水木で座組一同楽しい夜を過ごしました!!
渋谷勝彦さん
皿そば「甚兵衛」店主の渋谷さん。私たちと出石を繋いでくださったのは、この方なんです!
「いずし落語笑学校」や「大向う鸛の会」の代表をつとめられている、懐深く温かい方。
出石の街そのもの。
渋谷朋矢さん
「出石小唄」蘇りの立役者!音楽の趣味が扇田さんと一致して盛り上がっていました。
もっとお話ししたかった!
そして赤浦 毅 館長
ミスター永楽館、赤浦館長!
赤浦館長の「なんでもやりまっせ」の言葉が私たちにどれだけ大きな勇気をくださったことか。
赤浦館長あっての永楽館。俳優顔負けの素敵な館長さんです!
私たちは、去年蘇ったばかりの「出石小唄」も作中に取り上げて、
滞在初日から連日、街の方々と稽古を重ねました。
永楽館で現代演劇のカンパニーが上演をするのは、街の方々にとってもほぼ初めての体験。
最初は戸惑いもあったそうですが、
舞台の小道具を街を巡って揃えていくなど創る過程を共有するうちに、
永楽館を通して、カンパニーと街とが同じ熱を帯びるようになっていきました。
永楽館での稽古には、出石支所長をはじめ沢山の街の方々が見学に来てくださり、
本番前には、小雨が降る夜の道で、街の方々が自主稽古をされていたりもしました。
そして迎えた本番……。
佐藤 誓
石村みか
中村シユン・石村みか
福田温子・石村みか
根本大介・久我真希人
中田春介
伊東 潤
近藤フク
久我真希人
扇田森也
榮木健二
福田温子・伊東 潤
佐藤 誓・小山萌子
佐藤 誓・近藤フク
小山萌子・石村みか
佐藤 誓・石村みか
福田温子・石村みか
(撮影/中才知弥)
集客の心配は吹き飛びました。永楽館の赤浦館長はじめ、
出石の街の方々が中心となって、呼びかけてくださり、
二日間で計五〇〇名のお客様が観に来てくださいました!
舞台も、永楽館自体が劇に奥行きと世界観を与えてくれ、
この小屋でしか味わえない熱を感じることができました。
また出石のエキストラの方々が出演する場は、大変に盛り上がりました。
千秋楽のカーテンコールでは「大当たりィ!」と温かな大向うの声が掛かり、
祝幕が引かれた舞台中では、カンパニーとエキストラの方々が共に涙する一幕もありました。
地域と深く結びついて実現した劇作家大会。
困難は様々ありましたが、
それでも予想も想像も及びもつかないほど大切な経験をさせていただきました。
しばしの間でも共に過ごした劇作家たちがそれぞれの場に戻り活動を続けていく。
一つ一つの光の瞬きを思い描くことは、これからの大きな勇気になりそうです。
そして出石という素敵な街との出会いも……
共に創り上げたひとつの公演が終わり、
ここから、また新たな始まりとなりそうです。
出石の街の皆さん、いらしてくださいました皆さま、
そしてこの大きな大会を支えてくださった全ての方に……
本当にありがとうございました!!
一年に一回永楽館に行きたいーっ。
私たちにとって大切な故郷が増えました!
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