SSブログ

児童文学、放課後の図書館 [本]

今日は、新緑が眩しくて、すごく嬉しかった。
桜の季節よりも、ちょうど今くらい、緑が瑞々しく光りだす季節が好き。
生まれた季節だからかな。

先日、ひとつのきっかけがあって再び児童文学を読み始めたんだ。
児童文学はそれこそ小学生後半から学生時代は
とても真剣に、浸かるように浴びるように読んでいたんだけれど
戯曲を書き始めてからは完全にシフトチェンジしてた。
なんというか、早くレベルアップしなくちゃならなくて
舞台に直結するものが最優先、
それ以外のものを読む余裕がなくなってしまっていたというか。

今また久しぶりにあの頃出逢って大好きだった本たちを読み出してみた。
感じ方はすこしずつ変わっていってるけど
やっぱりね、
揺るがずに好きな本がある。
なんでもない日常の光景を描いているその箇所に、ふと涙ぐみそうになって
書き写そうとノートを開いたの。
私は、祖父から譲り受けたSHEAFFERの万年筆、その一本しか持ってないんだけど
キャップを外し、少し書き出したところで

同じようにノートに向かう、いつかの自分がフラッシュバックしたんだ。

高校生のときの自分が、まったく同じ姿勢で
まったく同じ箇所を書き写してたことを思い出した。

変わらないというかなんというか。
いくら背伸びしてももがいても
源にあるものや目指す方向性は、最初から変わってないのかもしれないね。
もういっそ、清々しい思いになった。
「そうか、そんなに好きか」って。

制服のまま通っていた放課後の図書館、
学校からすぐ行けるところではなくて
その区でいちばん大きな図書館がある街へわざわざ行くこともあった。
棚に入ってるもの、できれば全部読みたいと思ってたから
端にあるものから一冊ずつ読んでいった。
もちろん、自分にとってつまらなかったら、すぐに次の本。
席に着くのももどかしくて、本棚の前で立ったまま読み出してしまうことも。
お腹がすくと、バッグの中からこっそりお菓子を取り出して。
そういうところもちっとも進化してませんが。

その時読んでいた作品の数々で、すぐにばっと名前が上がるのは
萩原規子さん、梨木香歩さん、上橋菜穂子さん……などなど。
もう10年以上が経つけれど、
おそらく今でも
そういう作品たちが見事に児童文学界の「王道」となっていると思う。
「夏の子どもたち」から読んでる川島誠さん、それから角田光代さんは
私は、児童文学という観点ではなくて、一般の小説として出会っている。

児童文学、というジャンルはとても広いね。
もしかしたら、真の定義はたった一つなのかもしれないね。
あくまでも私が今感じている定義なのですが……
とてもシンプルなこと、
「本の先に、本当に子供たちがいるかどうか」。

そして
子供たちにとってしっくりくる言葉や易しい言葉で書かれているから
読む人にとっては、内容も平易だと思われてしまうこともあるかもしれない。
だけど、どんな表現方法で描かれていても
そこにある普遍的なメッセージは変わらない。
問いかければ問いかけただけ、答えが返ってくるのだと思う。


なんてえらそうに言っても、私自身はまだ小説を書いたことがないんだ。
戯曲とは違うチャンネル、自分の中に見つけないと。
まだ書いたことがない、ってもう、心の中でさえ呟くのは嫌だなぁ。


ちなみに、私にとって思い出深い三冊!


過酷な現実、鮮やかな結末、そのストーリーに衝撃を受けたのは、
ロバート・ウェストール「海辺の王国」。
きっと、ここで受けたイメージを自分なりに消化しようとして
それから何年も経ったあとにつくったミュージカル「夜明けのポルカ」で
新橋、という名の浮浪者の男の子を出したのだと思う。


ストーリーも何もすべて思い出せないんだけれど
今でも「気配」だけとても印象に残っているのは、(なんじゃそれ)
小川みなみさんの「やわらかな記号」。
オリジナリティはピカ一なのではないだろうか。
(でもストーリーが思い出せない。
ミトコンドリア?とかの力を借りてアナザーワールドへワープ……とか……
理系の物語でした。生物の、息遣いをずっと感じているような)


そして、
私にとって最も大切な一冊は、
これはきっともうずっとずっと変わらずに
湯本香樹実さん「夏の庭」。
自分にとっても大切な光景が、ここにいっぱい詰まってるんだ。
タグ:児童文学
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。