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炎天のゴッホ [日々雑感]

こんばんは!
今日は、先日行った書道展(@渋谷「アートギャラリー道玄坂」)の話を。
純粋な書道展をじっくり観に行くのは初めてで個人的にとても刺激的だったので!

行ったのは、書道家、加藤有鄰先生率いる企画展。
たまたま叔母、高橋藍夏「田園の夏」という作品が出品されていたので遊びに行ってきました。

でも書道って、舞台や絵画の展覧会とは違って、
特に興味がない限りあまり接する機会がないよね?
せいぜい一年に一度、お正月に思い出す位。
私自身も、文字を書くこと自体は好きだし、
特に万年筆やなにかでさらさら紙の上を滑っていくのはすごく気持ちがいいんだけど、
書道は、子どものときに学校で無理やり書かされてたような堅苦しい記憶があって
これまでなんとなく敬遠してきたジャンル。
だけど、この展覧会を通じて、これまでのイメージが180度変わったんだよ!

書道って……かなり〝熱い〟かも(笑)!

(でもね、まだ観慣れてないっていうか、消化しきれていないので
音楽や舞台の話と違ってあんまり分かりやすく伝えられない!ごめんね~)

今回の企画展は、とても創作性の高い展示会で、
作品はすべて好きな詩や文章を題材に、それぞれの個性を生かした筆で表現されていたんだ。
素人目には、上手いのか下手かもよく分からない(笑)
何が書いてあるのかさえ、パッと見には分からないのもある。
書かれているのが漢字だっていう先入観を持っているのに
実はそれがカタカナだったり英語だったり。
先入観に捉われてるうちは、そこにあるのはただの「図形」。なんの意味も入ってこないの。

それでも、じっと見てるうち、ああこれはあの字かっていうのが分かると
そこから一気に紙全体のピントが合う!
霧が晴れるように、すべての意味が明らかになる。
メッセージが丸ごと伝わってくる!
その瞬間があまりに鮮やかで、気持ちよかった。

太い筆にたっぷりと含ませられた、潤んだような墨色、
勢いそのままの払いや止め、題材に合わせて計算された筆致に半紙の余白。
文字自体が持つ意味、力。

すべてが、書くひとの〝その題材をどう表現するか〟という想像力によって生み出されていて
こちらにぐっと働きかけてくれる感じ。
なんていうか、音楽や舞台・映画・絵画とも全く違う部分からのアプローチというか……
紙からその光景が立ち上がってくるというか。
はじめて知った。
「書道=もう固定化された文字自体の持つ意味+絵画的な表現」
なんだね。

叔母の作品は、
84×114の半紙にのびやかに力強く、

「炎天のゴッホ

   夏いよいよ厳めく緑
   吹きこぼれそこら一面炎
   天のゴッホ」

             (改行、そのまま)

墨の黒が、
夏の盛りになお力強く萌える緑と、咲き誇る黄色になって迫ってきた。

文字から受ける想像力もあるけれど
墨ってなんて美しいんだろう。

っていうか、書道って、ある意味最強のアプローチ力を持っているのかも!と思いました(笑)
あくまでも個人的な感じ方なんだけどね。

例えば、舞台や音楽は、今目の前にある素材から
〝何かを感じて〟→〝想像して〟→〝意味(ことば)を見つけてくる〟ものじゃない?
だから、何を受取るかはそれぞれの心に委ねられているんだよね。
輪郭からして曖昧、好き勝手に受け取っていいの。

一方で書道って、
額の前に立った時点で、受取るものの輪郭はハッキリしてるんだよね。
確固として伝えるものがあるというか、内容を断言してる。
そして……先人たちはその力を使って、
人や自然や「目に見えない大きなもの」と対等に向き合ってきたんだよね。
時にはそこに、祈りを込めて。
私たちが生まれてから最初に与えられる文字=「名前」にも
その力が、未来への望みを形にするべく込められてる。

あ、この辺りでやめよう!!
その方面、あんまり強くないし(笑)ここから先は
マジナイとかシュとか色々ディープな話題に嵌っていっちゃうもんね。
まぁとにかく、書道ってなかなか面白いんだよって話!
敬遠しているひとは、機会があったら行ってみて。

ちなみに、
出展されている作品が、他の方のも含めて
本当にさまざまなスタイルがあるので、
これはどんな練習を重ねてここに至るのかな~と考えていたら
加藤先生が横に立って教えてくれました。

「最初から、好きなようにのびのび書く、なんてことは出来ないんです。
そうしているとあっというまに限界が来てしまいます。
じゃあ、文字で哀しみや喜び、あらゆる感情を表現するにはどうしたらいいか。
最初はとにかく〝上下〟〝左右〟を楷書で書くところからはじめて
基礎を積み重ね、そこから個性を探していくんですよ」

なるほどなぁ……って素直に納得。
いろんなジャンルの表現の違いはあるけど、根底に流れるものは不思議と同じなんだね。

さぁ、明日からちょっと旅です。
ジャンルの表現の違い。
そう、生きる場所も立場も、目的意識も背負うものも何もかもが違うひとたちが一箇所に集う。
それでも、そこで出会えるという時点で「根底に流れるものは絶対に同じ」はず。
違いを、互いの個性と認め合って楽しめる
いい仲間ができるといいな!

ではまた♪


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