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江戸川乱歩をめぐる旅 鳥羽編 「鳥羽みなとまち文学館」 [てがみ座「乱歩の恋文」]

今日は、てがみ座「乱歩の恋文」舞台美術の打ち合わせでした!
舞台美術 杉山至さん×演出の扇田拓也さん×舞台監督 杣谷昌洋さん。
なんて楽しい時間だったことか!
私の本を足がかりとして、杉山さんのイマジネーションがどんどん広がっていく。
アイディアが泉のよう!杉山さんの子供の頃の光景も。
聞いてる傍から、お互いの心の中のありとあらゆる引き出しがパカパカ開いて
次から次へと景色が浮かんでくる!やりたいことが芽生えてくる。
杉山さんのスケッチブックを覗き込んで、わくわくしっぱなし。
ああ、楽しみ……
またバックステージツアーができたらいいなぁ!
落ち着いたら杉山さんに相談してみよう。
ありふれた惑星でバックステージツアーを実施して、とても楽しかったものね。
杉山さんの心を刺激できる本でありますように。
今日は打ち合わせに向かう間、ずっとそんなことを考えていました!


さて今回は、大正後期から昭和にかけての時代をメインとした舞台。
乱歩と彼の妻、隆子(りゅうこ)さんの心の軌跡が大切な主軸のひとつとなっています。
だからこそ、乱歩が青春時代を過ごした場所、そして隆子が育った場所、
その景色を、書き出す前にどうしても観ておきたいと
三重県鳥羽と坂手島へ取材の旅に行ってきました。


旅のはじまりはやっぱり伊勢うどんからでしょう!
鳥羽ならではの新鮮メカブ入り。

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大正六年11月、23歳の時。
江戸川乱歩は、鈴木商店鳥羽造船所に就職し、鳥羽に下宿していました。
もちろん、まだ探偵小説作家になるずっと前。
まだ乱歩が職を転々としていたころのお話です。

実際に乱歩が鳥羽の地に住んでいたのは、わずか1年あまり。
それでも、鳥羽での生活や体験が、乱歩の作品や考え方に大きな影響を与えていました。
パノラマ島奇譚なんて、まさにミキモト真珠島がモデル。
暖かくて温和なこの町が、本当に好きだったのでしょう。
仕事自体も造船所の機関誌「日和」の編集で、大好きな仕事だったし。
乱歩が住んでいた頃の古い町並みの名残が、今も残っています。
鳥羽は良質な港に恵まれて、交易で古くから栄えていた町。
船乗りたちにとっては「命の洗濯場」となっていました。
今もその名残、当時の待合の建物がそのまま残っています。


DSCN1428.jpg


このすぐ近くに乱歩は下宿していました。

乱歩と鳥羽時代からの親友で、挿絵画家そして風俗を研究していた岩田準一さん。
家がほとんど斜向かいだったから仲良くなったんだね。
乱歩の挿絵も担当するほか
乱歩が東京へ移り住んだあとは、文通を通して同性愛研究などをしていました。
同性愛研究は岩田準一さんのライフワーク。
その道の祖で知られる南方熊楠とも深く交流し、『本朝男色考』なども記されていました。
今は岩田さんの生まれ育った家が地域のボランティアによる運営で
「鳥羽みなとまち文学館」として一般開放されています。


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乱歩、隆子さん、横溝正史、夢二、柳田国男の書簡等々も展示されていて
この鳥羽に居ながらなんて交友関係の深い方だったのだろうと驚嘆します。

このお部屋が準一さんの自室。
ここに若き日の乱歩が上がり込んで、二人で文献の収集をしたり
小説の話を、尽きることなく語り合っていたんでしょう。

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ついに、「乱歩の恋文」第一稿書き上がりました!! [てがみ座「乱歩の恋文」]

こんばんは。ああ、なんて間があいているのかしら…
前に書いたのはピースリーディングの時だ。本当にごめんなさい……
呆れて誰もチェックしてくれないんじゃないかと思うけど
地味に書きます、うわぁん。

周囲の方はご存じなんですが、
どうにもね、原稿を書き始めるとそれ以外の文章が書けなくなっちゃって。

夏はどっぷりと、原稿に向かい合っていました。
てがみ座、11月公演「乱歩の恋文」。
11/3~10@王子小劇場

ついに、ついに第一稿が書き上がりました!
ばんざーい!!

ほんとうに、ほんっっとうに大変だったのです。
これまでで一番大変な原稿でした。
でも、
今の私の持てる力を、全部注ぎ込むことができました。
ほんとうに全て。

新境地をひらくものになるのではないかと
……たったひとり、書き上がった今、思っています。
というか寝不足すぎてナチュラルハイだけだったりして。
稽古開始が9月13日からなので、
今夜・明日くらいはちゃんと寝て、突き放して見て、
稽古場には第二稿を出したい!!

本当に、第一稿を書き上げられた、という今この場所に来たことさえ、
少し前までは考えられなかったこと。
それほど、八月はずっと原稿に向かってました。

DSCN1465.jpg

これは、江戸川乱歩ご愛用の万年筆。

乱歩さん、本名 平井太郎さんとその妻 隆子の物語を書こうと思い立ったのは、たぶん去年。
ある情景が浮かんだから。
その先の景色をもう少し見てみたいな、と。
具体的な資料収集や調査は、春先から。
5月の終りには、ひとりで、取材の旅にも出ているんだ。
途中に、大きな舞台「青ひげ公の城」や
「ピースリーディング 井上ひさし 平和への祈り」を挟んだけれど
その間も調査はずっと継続していて。

すでに、知識も景色も背景も、全部自分の中にあるはずなのに
『どうして「てがみ座」で乱歩をやるのか』、
その眼差しに到達するまでに時間が掛ったような気がします。

乱歩といえば、その作品のどれもが鮮烈で、汲み上げようとも尽きない泉のよう。
怪奇にも耽美にも向かうことができるし、
作品をモティーフとした舞台も映画もこれまでにもたくさんある。

だからこそ、それとは別の観点から自分が何を面白いと思ったのか、
どこの眼差しに立つのかをはっきりさせて、
ブレずに、潔くなれる強さを培うことが、
今回の「書く」というプロセスだったような気がするんだ。

そうなれているのかどうかは、
たぶん、一度突き放してからやっとわかることかもしれない。


すごく……
すごく苦しかったけれど
でも、とても面白いと思う。のです。自分としては。

大正~昭和9年までを舞台として書いたので、
全然、現代口語演劇じゃないんだけど、
そこがまた合っている気がします。

いちばん楽しかったのは、思う存分、言葉を書けたこと。
時代と作家性がある作品だったので
遠慮しないで済んだんだ。

とてもとても楽しいです。
これまでに書いたことがなかったもの。
書くことでしか、見えなかったものが、今ここにあるんだ。


まずは演出の扇田さんに、そしてキャストのみなさんに
読んでもらう。
愛しい作品になりそうですー!

先週は、苦しさのドン底にいて、
最後の山に差しかかる前、ぱたっと詰まって、書いては捨ててを繰り返してた。
考えすぎてふつうに生活してても吐き気がするし、頭痛はするし。

でも、8月28日に利賀村に行ったその夜に、すこし動きだしたんだ。
28日→29日の利賀村一泊が私の夏休み。
ディオニュソス、新 帰ってきた日本、シラノ・ド・ベルジュラック、
初めての利賀村。SCOT体験。
ものすごくきれいな月の虹彩と星座を見ながら、何かがほどけだしたんだ。
「私の到達点」が見つかった気がしたんだ。

なんか私、主宰をつとめてるくせに
作家モードの時はずいぶんと弱気で、
(なんせカプセルみたいな心境で書いているから)
稽古が始まる前に、こんなこと言ったことはないんだけれど、
きっとすごく、面白くなると思います!

力を尽くしたんだ。
そう言えるの。
だから、後は、作家としては安心して稽古場に渡せる。
演出の扇田さん×西田夏奈子さん×元SCOTの岡野暢さん×桟敷童子の稲葉能敬さん。
どんな化学反応が起こるか、楽しみ!

原稿がちゃんと書き終わったら、取材記をここに書こう!
ものすごい幸運に恵まれて、ゆかりの人々に出会えたんだ。
ネタばれにもなるから加減しなきゃいけないけど、
書きたい景色があるのです。

きつかったけど、
第一稿、書き上げることができました。
愛しいです、とても。



ピースリーディングで実現する、奇蹟のような舞台 [てがみ座「乱歩の恋文」]

こんばんは。
青ひげ公の舞台の感想も書けないまま次の舞台が間近にせまり。
ひとつずつの舞台のこと、ちゃんと書きたいのだけれど
毎晩4時近くまでなんだかんだと仕事する日々。
こちらもやりつつ、てがみ座 秋の公演のキャスティングも進行中で。
睡眠不足でふらんふらんになりつつ。

でも今日は寝た。というか、いろいろ無理が来た。
寝ました。午前中いっぱい。
でも午後からは秋のてがみ座公演にご出演いただく
劇団桟敷童子 稲葉能敬さんご出演の舞台へ。
桟敷童子の本公演 「蟹」、すみだパークスタジオへ。

最初からさいごまでわくわくさせられっぱなしの、大好きなテイスト満載の舞台でした。
同じ水を多用するところから、自然と水族館劇場との対比を考え始めてた。
うーん、書きたい。でも桟敷童子はこのリーディングが終わったらもう一度行くので、
この話はまた、改めて書くね。


さてさて、本題はこちらなのです。
来週20日・21日の舞台、
ほんとうに二度とない奇蹟のような舞台が実現するのです。
お見逃しのないように~!!


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非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディングvol.13 「Re:カクカクシカジカの話」

日時:2010年7月20日(火)・21日(水) 開演19:00(開場18:30)

会場:全労済ホール/スペース・ゼロ

チケット取り扱い(直前予約受付中!)
   □・青年劇場 TEL:03-3352-6922(平日 10:00~17:00)
   □・非戦を選ぶ演劇人の会 info@hisen-engeki.com
   □・※名前(フリガナ)・電話番号・日にち・枚数をお知らせ下さい。

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第3部:「井上ひさし 平和への祈り」

構成台本 石原美か子
       長田育恵(演劇ユニット てがみ座)

演  出 渡辺えり

出  演 すまけい/梅沢昌代/三田和代/神野三鈴/
      田根楽子/益岡徹/高橋長英/渡辺えり
     
      ピアノ:朴勝哲


構成台本を担当させていただきました。
先生の個人研修生の先輩、石原美か子さんとともに。

先生の戯曲には「戦争を二度と繰り返さない」という強い意志と未来への願いが
深く深く刻まれています。
広島・長崎にも毎年赴かれ、残された手記を丁寧に手帳に書き付けておられました。
それはきっと、時が風化させていくものを
忘れてはならないと、身体に心に刻みつけること。
声にならなかった声を拾い集め、代弁し、届かせ、未来に引き渡すこと。
その先生の心と言葉に向き合う機会をいただいたことは
ほんとうに、私も美か子さんも、心から嬉しく思っています。

美か子さんとたくさん話して、何度も会って、先生の本を読んだ。せりふを拾った。
まるで先生と実習をしているかのような気持ちで、
改めて「井上ひさし」の言葉の力に、二人でひたすらに向かい合いました。

そうして出来上がった構成台本、
なんと、こまつ座で上演時に実際に役をつとめられた俳優の方々が揃い、
再び井上ひさしさんのせりふを読んでくださるのです。


すまけいさんが、「父と暮せば」のおとったんを。

梅沢昌代さんが、美津江を。


これだけでも観ないとだめでしょう?!
そのほかの方々がどの作品のどのせりふを読まれるのか、それは秘密ですが。

本番まで、あと数日。


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【全体詳細】

・第1部:朗読劇「Re:カクカクシカジカの話」(ピースリーディング)

     作  相馬杜宇
     
     構成・演出  楢原 拓(劇団チャリT企画)
     
     出演  青井陽治/有森也実/板倉光隆/伊藤伸太朗/
          梅沢昌代/占部房子/枝元萌/円城寺あや/大沢健/
          大谷亮介/鴨川てんし/神野三鈴/熊野善啓/
          小飯塚貴世江/小杉美香/小山貴司/小山萌子/
          酒向芳/佐藤滋/ザンヨウコ/志賀廣太郎/
          重田千穂子/鈴木瑞穂/すまけい/高橋長英/
          高畑こと美/田根楽子/戸田恵子(21日のみ)/
          友寄有司/長岡初奈/中山マリ/成本千枝/
          西田夏奈子/西山水木/根岸季衣/野々村のん/
          洪明花/深沢敦/藤井由紀/松岡洋子/松本大卒/
          舞山裕子/益岡徹/丸尾聡/三浦孝太/三田和代/
          山口馬木也/山本悠生/横澤有紀/
          吉本菜穂子(20日のみ)/渡辺えり/他   

・第2部:インタビュー(20日:安田菜津紀氏、21日:鎌仲ひとみ氏)

・第3部:追悼企画 リーディング「井上ひさし 平和への祈り」

http://hisen-engeki.com/


それでは、本番まであと数日、しっかりやります。

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