舞台美術の魔法 -杉山至氏 「ありふれた惑星」の場合- [演劇ユニットてがみ座]
こんばんは!
では今回の舞台美術について、ぜひご紹介を!
なぜなら、12日のバックステージツアーで
どうしても紹介したかったのに、言い忘れてしまっていた事があるのです……。個人的に。
今回の美術家 杉山 至さん(舞台美術研究工房 六尺堂ディレクター)は、
私が様々な舞台でお仕事を拝見していて、ぜひこの方にと願ったお人。
畏れ多くも、旗揚げ公演にも関わらずお引き受けいただいて、……本当に、大感謝です。
まず脚本をお読みいただき、描き出したいことをお伝えして、
最初に杉山さんからいただいたモデルイメージ。
劇場自体を天球儀に見立てるという発想。
それは、この公演の核を掴んで、なおかつ劇場の中で生まれくる営みを
劇場の外へ飛ばしてくれる、視野を広げるための素晴らしいアイディア。
打ち合わせのあとの気持ちをいまでも覚えています。
イマジネーションの豊かさとクリエイティビティの鮮やかさに、とにかく胸が高鳴った。
一観客としてその舞台を観たい、とても!と強烈に思いました。
ことばに書かれた形のない思いに、具体的な形を与え、なおかつ強力な説得力をくださった。
確かな理念から導き出されたプランには、
何よりも「創造と想像の楽しさ、喜び」が溢れていた。
その姿勢こそが、私が今回いただいた、最大のものだったと思います。
天球儀の周りには、星空と星図。
ブラックライトで浮かび上がります。
(撮影/伊藤雅章)
また天の周期を彷彿させるように、随所に施された「弧」のライン。
舞台のツラもゆるやかな弧を描いているばかりか、
ご覧になった方はおそらく大変印象深かったと思うのですが、大掛かりに仕込まれた三箇所のドンデンも、あくまで「円」の周期にこだわって発想されたものなのです。
美しいだけじゃない、機能にも優れていて、作品に生命を宿らせるための工夫が随所に為されている。今回上演の2作品は、季節とトーンがまったく異なっているのですが、劇場の空気感までもを変えてしまおうというのが最大の眼目でした。
1作品目「カシオペア」……
1月、かたく澄んだ冬の大気、日暮れの早さ、夜明けの薄青い空。
2作品目「鉄屑の空」……
7月、盛夏の前のダレていない夏の気配。鉄工所。橙色の夕陽。
このように正反対のテーマカラー、杉山さんは、ドンデンを利用して壁の色から変えるという方法で答えを出してくださった。壁だけじゃない、柱さえも。化粧板を外すと、中には鉄骨を模した工場の柱が出てくる。
照明が入っているので分かりにくいかもしれないけれど……、
【カシオペア】
中島美紀 扇田拓也 (撮影/伊藤雅章)
【鉄屑の空】
梶山明子 大石丈太郎 (撮影/伊藤雅章)
また、ここから先がバックステージツアーで言い忘れてしまった、非常に重要な点。
それぞれの作品に相応しく、間口と奥行きも変えてあるのです。
これも杉山さんからのご提案。
間口と奥行き。
限られた劇場空間で、舞台構造までも各作品に相応しいものに変えていくというこの発想が、作品によりいきいきとした生命力を与えてくれました。
二人芝居「カシオペア」は、間口を狭く、奥行きを深く……
中島美紀 扇田拓也 (撮影/伊藤雅章)
人情喜劇的な群像劇である「鉄屑の空」は、間口を広く、奥行きを浅く……
(左から)奥沢侑生 大石丈太郎 加藤大騎 前田織里奈 石井統 武谷公雄 中村太一
梶山明子 大北雅世 調布 大
(撮影/伊藤雅章)
いかがでしょうか。
これぞ、舞台美術の魔法。美しさを兼ね備えた機能的なアプローチ。
舞台が飛び立っていくための力強い翼を与えてくださいました。
では今回の舞台美術について、ぜひご紹介を!
なぜなら、12日のバックステージツアーで
どうしても紹介したかったのに、言い忘れてしまっていた事があるのです……。個人的に。
今回の美術家 杉山 至さん(舞台美術研究工房 六尺堂ディレクター)は、
私が様々な舞台でお仕事を拝見していて、ぜひこの方にと願ったお人。
畏れ多くも、旗揚げ公演にも関わらずお引き受けいただいて、……本当に、大感謝です。
まず脚本をお読みいただき、描き出したいことをお伝えして、
最初に杉山さんからいただいたモデルイメージ。
劇場自体を天球儀に見立てるという発想。
それは、この公演の核を掴んで、なおかつ劇場の中で生まれくる営みを
劇場の外へ飛ばしてくれる、視野を広げるための素晴らしいアイディア。
打ち合わせのあとの気持ちをいまでも覚えています。
イマジネーションの豊かさとクリエイティビティの鮮やかさに、とにかく胸が高鳴った。
一観客としてその舞台を観たい、とても!と強烈に思いました。
ことばに書かれた形のない思いに、具体的な形を与え、なおかつ強力な説得力をくださった。
確かな理念から導き出されたプランには、
何よりも「創造と想像の楽しさ、喜び」が溢れていた。
その姿勢こそが、私が今回いただいた、最大のものだったと思います。
天球儀の周りには、星空と星図。
ブラックライトで浮かび上がります。
(撮影/伊藤雅章)
また天の周期を彷彿させるように、随所に施された「弧」のライン。
舞台のツラもゆるやかな弧を描いているばかりか、
ご覧になった方はおそらく大変印象深かったと思うのですが、大掛かりに仕込まれた三箇所のドンデンも、あくまで「円」の周期にこだわって発想されたものなのです。
美しいだけじゃない、機能にも優れていて、作品に生命を宿らせるための工夫が随所に為されている。今回上演の2作品は、季節とトーンがまったく異なっているのですが、劇場の空気感までもを変えてしまおうというのが最大の眼目でした。
1作品目「カシオペア」……
1月、かたく澄んだ冬の大気、日暮れの早さ、夜明けの薄青い空。
2作品目「鉄屑の空」……
7月、盛夏の前のダレていない夏の気配。鉄工所。橙色の夕陽。
このように正反対のテーマカラー、杉山さんは、ドンデンを利用して壁の色から変えるという方法で答えを出してくださった。壁だけじゃない、柱さえも。化粧板を外すと、中には鉄骨を模した工場の柱が出てくる。
照明が入っているので分かりにくいかもしれないけれど……、
【カシオペア】
中島美紀 扇田拓也 (撮影/伊藤雅章)
【鉄屑の空】
梶山明子 大石丈太郎 (撮影/伊藤雅章)
また、ここから先がバックステージツアーで言い忘れてしまった、非常に重要な点。
それぞれの作品に相応しく、間口と奥行きも変えてあるのです。
これも杉山さんからのご提案。
間口と奥行き。
限られた劇場空間で、舞台構造までも各作品に相応しいものに変えていくというこの発想が、作品によりいきいきとした生命力を与えてくれました。
二人芝居「カシオペア」は、間口を狭く、奥行きを深く……
中島美紀 扇田拓也 (撮影/伊藤雅章)
人情喜劇的な群像劇である「鉄屑の空」は、間口を広く、奥行きを浅く……
(左から)奥沢侑生 大石丈太郎 加藤大騎 前田織里奈 石井統 武谷公雄 中村太一
梶山明子 大北雅世 調布 大
(撮影/伊藤雅章)
いかがでしょうか。
これぞ、舞台美術の魔法。美しさを兼ね備えた機能的なアプローチ。
舞台が飛び立っていくための力強い翼を与えてくださいました。
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