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〝いつか〟の本 [本]

家に帰ると、小包。
開けてみるとそれは、1冊の本。
すごく嬉しかった。
ある人が書きためていた映画についての文章とシナリオが、とうとう出版されたんだ。

その人は、私とはとても年が離れているのだけれど
気の合う対等な友人で、
ある時期、かなり頻繁に一緒に昼ゴハンを食べに行ったりコーヒーを飲んだりしてた。
その頃、私は、しばらく書くことから遠ざかっていたのに
初めてジョーズカンパニーでファミリーミュージカルの依頼をいただいて
本当にやっていけるか、いつか書き上げることができるのかさえ全然判らずに
思いついたストーリィを、とにかくその人に話して聞かせていた。
代わりにその人が話してくれるのは、映画の話。
若い頃から書きためていた映画についての評論やエッセイ、シナリオを
いつか出版したいんだ、と話してくれてた。
その時は、あまりに遠く思えていた〝いつか〟の話が、
年齢も立場も全く違う私たちを、いつのまにか友人にしてくれてたんだ。

あの頃から何年か経って、今日届いたこの本。
その人が長い間ずっと抱いて歩んできた夢が、形になって確かにそこに在って
静かに深く感動してしまった。

この本を、本棚に納める位置は、きっともう決まってる。
私にとってそういう本はこれで2冊目。
もう1冊は、ずっと前、まだ私が学生だった頃に貰ったもの。

それは、「4級より1級まで」という本で、
盛岡近くの小さな村で生まれて、村の小学校にピアノを寄贈したいという夢を抱いて上京し、
苦労して会社を起こし、築いていったひとが書いた本。
その人のことは、それまであまり好きではなかったから
貰った直後にはページもめくらないで仕舞いこんでた。
でも、その人がいなくなって
私自身も大人になって、少しずつページをめくりだした。
…今なら。今なら話したいことがたくさんあったのに。
等身大で語り合える、飾らない言葉があったのに。
友だちになれたかもしれないのに。
そんなことを強く思った。
その本を書いたのは、私の祖父。
覚えているのは、書斎での後ろ姿。

考えてみると私には、尊敬すべき年の離れた友人がたくさんいる。
過ぎていく時間を見過ごしてしまわないように
後から後悔は決してしないように
そんな友人たちと、大切に時間を重ねていきたいな、と改めて思いました。

今日いただいたこの本。
じっくり読んで、感想を手紙に書こうと思います。
そして近いうちに、またTOPS上の喫茶店で会えるといいな。
ありがとう。


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