SSブログ

麦ふみクーツェ、そして。 [本]

こんばんは!時間が空いちゃったね。
心配してくれた方々どうもありがとう!元気でした、大丈夫です(笑)
うかうかしてる間に、So-netのブログはすっかり様相が変わっていて驚き。
大改築があったのね。ここはどこ……?みたいな感じッス。

今日はなんだか久しぶりの休み。
一日をたっぷり使いたくって、ちゃんと朝から起きて、
模様替えしたりいろんなものを捨てたりして、とにかく〝相棒☆〟を迎える準備。
やっと天気もよくなってきたし、まわりの全部がいいリズムで動きだすといい!

最近はいろんなことを考えたけど、ある本をきっかけに、ちょっと目の前がすっきりしたんだ。
いしいしんじさんの「麦ふみクーツェ」。
タイトルは前からずっと知ってて気になってはいたんだけど、
先日やっと〝読む時〟が訪れて、手を伸ばすことができました。

読み出し第1章にとにかくすごく惹きつけられるものがあって、
久しぶりに原点に通じる感覚を思い出したんだ。
このまま、読み終わるまで眠りたくない。
〝読んでいる今の時間自体がいとおしくて、終わってほしくない〟という感覚。
働いていると、どうしたって明日の事を考えてブレーキがかかってしまうけど、
ずっと忘れていた〝読み終わった時が眠る時〟だった頃のことを、身体が思い出していて
それがとても心地よかったんだ。

子どもの頃から読むのはずっと好きだったけど、意識的に〝読む〟ようになった頃。
急にものすごく夜が短くなった。
とにかく楽しくて、ベッドに座って、1冊を読み終わるまで眠れなかった。
中学と高校に行ってよかったなって思う理由の一つが
あの図書室、そしてそこにいた司書の女の人と出会えたこと。
学校の図書室がほんとうに好きだった。そこで、随分たくさんのものを貰ったんだ。

その司書の先生、きっかけはよくわからないけど気がつくと仲良くなってたんだ。
今から思うと、すごく変わってる。
新しい本を入れるときには、必ず〝私が好きそうな本〟を用意してくれて、
入荷するといちばん最初に手渡してくれた。
貸出のラベルを貼って棚に納める前に。
しかもやけに自信満々で薦めてきてくれる、絶対気に入るから!って。
そういう〝特別〟が嬉しくて、読む量が爆発的に増えていった。
一番ひどかった時は、1・2限の授業中、3・4限の授業中、午後の授業中に各1冊ずつ読む。
で、帰ってからまた1冊。1日4~6冊ずつ。
休み時間中に次の巻を取りに行くから、貸出し手続きは勝手にスルー。
何しに学校に行ってたんだか。
ちなみにそうやって読んだのは、きっと似たような道を歩んだ人も多いと思う「グイン・サーガ」(笑)。

その頃に先生が薦めてくれた〝私が好きそうな本〟ラインナップ。
中でも特に印象深かったのは、

     小川みなみさん「やわらかな記号」
     梨木香歩さん「裏庭」「西の魔女が死んだ」
     湯本香樹実さん「夏の庭」

特に、湯本香樹実さんの「夏の庭」は、心から〝出会えてよかった〟と思う1冊。
読んだ直後はさほど響いてこなかったのに
それから何年かした高校3年生の夏に読み返して、涙がとまらなくなった。
そこに描かれた、クライマックスでも何でもない部分の風景が胸に響いて、
そんなに泣いてる自分に笑えてくる位。こんな本は後にも先にもこの1冊だけ。
それではじめて気付いたんだ。
本の中には、その時の読み手の心を鏡のように映せるものがあるんだって。
感情を受け止めて光を跳ね返せるほど、曇りがなくてしなやか。やわらかな芯。真摯な熱。
泣きながら、この本に早くから出会えて良かった、って思った。
これから長い時間をずっと一緒に歩いていけるから。

忙しいこの毎日の中で読んだ「麦ふみクーツェ」。
読後、最初に浮かんだ感想が『あのラインナップに入る本だ』。
そのコトバが頭に浮かんで、咄嗟に何のことか判らなかった。
好きだった場所の事、先生のこと、本のこと、感情のこと……思い出したのは、次の瞬間。

やっぱり人は、出会うべきときに必要なものと出会うようにできてるな~って思う。

毎日いろんなことが起こるけれど、そういうとこ、
ニクイね!うまい具合にくるな!って感心する(笑)

「麦ふみクーツェ」は、
〝どんなにでたらめな哀しみが起こっても、音楽は力強く響きつづける。〟そういう話。
黄色い土、石畳の港町。みどり色。
――鳴り渡る、祝祭のオト。


nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(4) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 6

右近。

麦ふみクーツエ は私も気になっていた作品。
いしいしんじさんの作品は 「ぶらんこ乗り」と「絵描きの植田さん」という2作品を読んでみたけれど、どちらも可愛らしくせつないお話で良かったよ。
クーツェ、私も読んでみるね。
最近余裕ができてきたので、最近は読書の秋を満喫しています。
by 右近。 (2005-10-24 23:54) 

IkueOsada

私はここから「ぶらんこ乗り」に流れる予定。
余裕ができて、よかった。今度一緒にプーシキン美術館展行こ。
マティスの金魚を観にいこう。
右近、今はね、火星が超接近してるんだってよ!
空見てみて。
by IkueOsada (2005-10-25 00:19) 

しまりす

・・ああ、何故かコメントは反映されてないのに
トラックバックが二回も・・・ごめんなさい(TOT)

TBありがとうございました。
どうなることかと思いましたが最後があんなに切ないことになるとは思いませんでした。
最後クーツェがひとりじゃなくて本当によかったなあ、って思いました。

私のいしいしんじのイチオシはやっぱり「ぶらんこのり」なんですけれどもね。
これほど切なく読んだ本も最近ではなかったかな。
この人の言葉のリズムにすっかりやられちゃっている私です^^
by しまりす (2005-10-25 10:23) 

IkueOsada

しまりすさん
こんにちは!こちらこそTBありがとうございました。
しまりすさんのBlog、面白いですね~!
「GO」も何度も手にとってはきてるので、必ず読んでみます。
また遊びに行きますね!
by IkueOsada (2005-10-27 09:10) 

めあり

はじめまして、TBありがとうございます。
いしいしんじ作品は読書を楽しめる、という点では
本当に一級ですよね。私は「プラネタリウムのふたご」が
お勧めです。クーツェとは違う魅力があります。

過去の記事を幾つか拝見したのですが、
アイヌについて興味をお持ちだったら
「魔神の海」をお勧めします。
今のところ絶版のようなのですが、
ある図書館も多いようなので。

根っから本の虫なもので余計なコメントが
多くなりました。
また、遊びに来させていただきますね。
それでは。
by めあり (2005-11-04 12:58) 

IkueOsada

めありさん、はじめまして!
「魔神の海」、なんでしょう……ゾクゾクするようなタイトルですね!
ごっつ面白そうです。

ぜひゲットしたいなぁ。
また「読みたいものリスト」が長くなりました。
貴重な情報、ありがとうございます!
また面白いものがあったら是非教えてください!
私も遊びに行きますね。
by IkueOsada (2005-11-04 23:24) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 4

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。